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尾道市、歴史的街並み維持へ「空き家バンク」拡充(各紙)

2012-07-12 07:46:59

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広島県尾道市は旧市街地の空き家情報を提供し、入居希望者を橋渡しする「尾道市空き家バンク」事業を拡充する。30万円を上限に改修費の助成を始めたほか、事業運営を委託する地元の特定非営利活動法人(NPO法人)が中心となり、対象地域の拡大を検討する。歴史的な雰囲気が残る尾道に暮らしたいとの声が増えているのに対応する。


 現在の空き家バンクの対象はJR尾道駅の東側約2キロ圏内の傾斜地にある空き家。NPO法人の尾道空き家再生プロジェクト(豊田雅子代表)が情報を提供している。居住希望者は同プロジェクトを通じてバンクに登録し、情報を閲覧する。




 同プロジェクトは登録物件の所有者への居住希望者の紹介や現地案内を手掛ける。居住を決めた希望者は不動産業者を通じて物件の所有者と賃貸契約を結ぶ。




 家賃は高くても月5万円程度という。2007年10月からこれまでにバンクを通じて約40件で20~30代の若者の借り手が決まった。




 同バンクは傾斜地の空き屋を有効利用し、定住者を増やすことを目指したものだ。市は30万円を上限として入居が決まった登録物件など空き家の改修費の3分の2を助成する「空き家再生促進事業補助金」の交付を始めた。




 一方、同プロジェクトは14年度にもJR山陽線の南側に当たる平地にある空き家情報の提供を目指す。物件紹介の対象地域を広げ、現在約90件の物件数も200件程度に増やす。




 尾道市の旧市街の傾斜地には約250件、平地には約200件の空き家がある。大正時代や昭和初期に建てられた趣のある家屋が多いが、下水道がないなど不便な点も多く「放棄されたに等しい状態で老朽化が進んでいる」(豊田代表)。




 空き家バンクには現在、約350人が登録している。東日本大震災以降、関東からの問い合わせが増えており、物件が足りない状況だという。




 現在では坂が多い傾斜地の物件しかないことから、借り手は若年層に限られる。対象地域を海側の平地に拡大できれば、退職後の年齢層でも居住できる物件も増え、定住者の増加に寄与できると見ている。




 尾道市の人口は約14万5000人で減少が続いている。空き家バンクの対象となる傾斜地の人口は05年から10年にかけて10.7%減少し3000人を切った。減少幅は00年から05年にかけての14.5%から緩和しており、バンクの運営効果が出ているという。