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再生エネ通じ地域活性化、市民出資の発電事業 小口募集、商品券で地元に還元 (各紙)

2012-08-03 17:11:20

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各紙の報道によると、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度が始まったことを受け、市民から小口の出資を募るなどして発電事業を始める動きが広がっている。電気を電力会社に売った利益を地域商品券で出資者に還元しようとする例もある。ただ事業としての収益性などについては見通せない部分もあり、自治体が市民と課題を探る試みも始まっている。


■官民で太陽光パネル

滋賀県湖南市では6月にできた一般社団法人「コナン市民共同発電所プロジェクト」が太陽光発電施設の建設計画を進める。市民らから1口10万円で計約2000万円を募集し、福祉関連施設の屋根などに太陽光パネルを設置する予定だ。


 発電した電力はすべて売り、利益は地域商品券で出資者に還元する。湖南市もパネルの設置場所の提供などで協力するという。同社団法人の担当者は「市民の力で生んだエネルギーで地元を活性化させたい」と話す。




 兵庫県では淡路島を足場に官民による太陽光発電の事業計画が進む。県と淡路島の3市、地元企業が共同で特別目的会社(SPC)を今年度内にも設立する。市民などから一口10万円程度の出資を募り、太陽光発電施設を設置する方針だ。




 事業の第1弾として県有地に約3億~4億円を投じて出力約1千キロワットの発電所を建設する計画で、売電による利益の還元方法は今後、検討する。




 今年に入り、一足早く稼働したのは富山県魚津市の小早月川にできた小水力発電所(出力約1千キロワット)だ。地域の企業が計画を進め、総事業費約10億5千万円のうち、環境省の補助を引いた約7億8千万円を市民らからの出資で賄った。一口50万円と300万円の2種類があり、昨年11月までに500人以上から出資があったという。




■安定稼働が課題




 市民出資型の発電事業は東日本大震災の発生以前から、全国で徐々に広がる傾向にある。茨城県神栖市では特定非営利活動法人(NPO法人)が設立した法人が市民らの出資を受けて風車を建設、2007年から稼働している。発電量は計画を上回っており、全量を売電。利益は環境教育などに充てられ、一定の成果をあげている。




 7月の買い取り制度スタートを踏まえ、発電事業への市民の関心も高まっている。だが安定した発電をどう続け、出資者に確実に還元できるかなどの課題も残る。




 京都市は8月にも、市民から出資を募る形の太陽光発電事業に関する検討委員会を設置する。市民や企業の関係者、学識者などが参加し、運営方法やクリアすべき点について細かく話し合う予定だ。