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「全町避難」の福島県富岡町 住民主導でメガソーラー発電事業へ。総事業費約95億円。銀行借り入れなどに加えて、市民出資で15億円の募集を全国に呼びかけ(各紙)

2016-05-20 14:40:36

tomiokaキャプチャ

 

 各紙の報道によると、東京電力福島第一原発事故で全町避難指示が出ている福島県富岡町で、住民主導による大規模太陽光発電所(メガソーラー)事業がスタートする。事業規模は約95億円という本格版で、うち約15億円を市民出資で募る。

 

 市民出資の募集は6月にも開始する。

 

 事業を推進するのは、一般社団法人富岡復興ソーラー(富岡町:遠藤陽子代表理事)。避難している同町の住民らで組織した。市民出資の再エネ発電事業に精通しているNPO法人環境エネルギー政策研究所(東京・飯田哲也所長)などが資本金を出して、事業を行なう特別目的会社を発足させた。

 

 事業予定地は、福島第一原発から約7kmの場所にあるJR常磐線夜ノ森駅近くの約35万㎡の農地。現在は居住制限区域になっている。太陽光パネル約11万枚を設置する。発電規模は約3万kWを想定しており、一般家庭約1万世帯の年間消費量をまかなうことができる。

 

 発電した電力は東電などに売電し、利益については住民が同町に帰還開始後の営農支援などに活用する計画を立てている。同町内には他に民間企業主体などによるメガソーラー計画もある。しかし、今回のように、地元の避難住民が主体となった事業計画は初めてだ。

 


 同メガソーラー計画は2013年に、各地に避難している町民らが準備を開始した。2014年に設立した社団法人にも、地権者ら町民が参加している。遠藤代表理事も富岡町出身で、現在、いわき市に避難している。

 

 遠藤さんは福島市内で記者会見し「困難の中から自ら立ち上がろうとした町民がいたと、次世代に伝える事業にしたい」と話している。富岡町は早ければ2017年4月の帰還開始を目指している。3月には、町の「帰町検討委員会」が計画案を作成、具体化作業を進めている。

 

http://www.isep.or.jp/