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東京・練馬に太陽光の市民発電所誕生。原発に頼らない社会への一歩。「福島映画祭」開催のビル屋上を活用(東京新聞)

2016-06-01 11:32:40

nerimaキャプチャ

 

   市民の出資や寄付で立ち上げた市民発電所が、東京都練馬区に誕生した。太陽光パネルを置いてくれる広い屋根を見つけるのに苦労したが、福島をテーマに映画祭などを開いていた「ギャラリー古藤」(栄町)に決定。発電所を「ふるとうSUN」と名付けた。運営する練馬グリーンエネルギーの原尚美理事長は「原発に頼らない社会をつくる一歩に」と意気込む。(石原真樹)

 

 古藤のビル屋上は約六十平方メートルあり、太陽光パネル二十四枚を設置した。周囲に高い建物がなく太陽光が遮られずに降り注ぐ。一・七世帯の消費量に相当する年間約七千七百キロワット時を発電できる見込み。一部を古藤で使い、残りを電力会社に売る。

 

 練馬グリーンエネルギーは、東京電力福島第一原発事故を受けて原発に依存しない社会を目指そうと、有志が二〇一三年に準備委員会を発足。一五年に一般社団法人となり、メンバーは約六十人。各地の市民発電所見学や太陽光発電工作セミナーの開催などを重ね、地域に根差した発電所づくりを模索してきた。

 

 都会での太陽光発電には広い屋根が不可欠。屋根を借りる期間を当初二十年としていたが「そんな長い期間貸すの」などと断られたため、十年に短縮するなど工夫した。運営費は、一口五万円の出資金を募ると二十五口が集まり、寄付と合わせて約三百万円となった。

 

 稼働は五月二十日。古藤の田島和夫さん(65)は「昼間のイベントは太陽光でまかなえる」。発電量と消費量、売電量をモニターで随時確認できるので、節電する習慣がついたという。

 

 練馬グリーンエネルギーは今後、パネルを定期的に掃除したりする「見守り隊」を結成し、市民が関わり続ける仕組みをつくる。原理事長は「マンション住まいで自家発電できない人も参加できる。小さな発電所だが、原発に依存する日本経済をつくり直す足掛かりにしたい」と話す。

 

 都内で市民発電所を目指す団体は三十ほどあるが、実現したのは「せたがや市民エネルギー合同会社」(世田谷区)や、「こだいらソーラー」(小平市)など少数。場所が見つからなかったり、再生可能エネルギーの買い取り価格の下落に苦戦するという。

 

 寄付を十日まで募集中。問い合わせは練馬グリーンエネルギー=電03(4405)7523=へ。

 

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2016060190094258.html