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電力会社の送電線とつながない「電力自立ハウス」完成。普及促進へ3メニュー提示。一般社団法人「えねこや」が普及活動へ(RIEF)

2016-08-22 01:25:19

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 電力会社の送電線につながず、太陽光発電など自然エネルギーで家庭の電力をまかなう電力自立(オフグリッド)ハウスの建設・普及を推進する一般社団法人「えねこや」が東京・調布市に誕生した。

 

 調布市の建築士、湯浅剛さんが代表理事。「えねこや」は、自然の力でつくったエネルギーだけで心地よく過ごせる小さな建物(エネルギーの小屋)を意味する。

 

 湯浅さんは東京新聞の取材(8月21日付朝刊)に対して、東京電力福島第一原発事故後に、原発のない社会を目指すなかで、「反対だけでなく、実践したい」と思い立ったと述べている。電気供給を電力会社まかせにせず、自分たちで発電・節電を実践することで、「原発の電力」に頼らなくてもいい社会をつくろうという思いだ。

 

  また「コミュニティーの再構築」もテーマに掲げている。カフェや子育て、高齢者のサロンなど、半公共空間として、非常時だけでなく、日常的に活用することで、地域住民をつなぎ、災害時の拠点としても生かそうというアイデアだ。

 

 こうした考えの下に「えねこや」は、少ないエネルギーでも快適かつ健康的に過ごせることを前提に、太陽光発電と蓄電池で電力自立(=オフグリッド)を目指す。まず、建物の規模を抑え(小屋)、断熱気密性能の向上と省エネ機器の採用で省エネ(エネ)を促進する。

 

 自宅隣の古家を買い取って、事務所兼住宅の「えねこや」のモデルハウスとして改築、このほど完成した。築40年の古家は一部2階建てで、広さは約46㎡。最先端の「オフグリッドハウス」として生まれ変わった。

 

 屋根には太陽光発電パネルと太陽熱温水器、発電した電力の一部は屋内の蓄電池に貯蔵できるので、夜間や雨天時も停電になることはない。建物全体は三重ガラス窓で断熱、室内空気循環システムで安定した空調を確保、エネルギー消費を節約できる。

 

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 蓄電池は、フォークリフトのバッテリーを24個連結した18kWhの鉛蓄電池とした。最新のリチウムイオンバッテリーに比べ安価に仕上がった。自立電力は蓄電池により、夏場のエアコン使用でも余裕がある。冬は木質バイオマスの無電力ペレットストーブが活躍する。

 

 水道は、現在は公共水道を引いているが、雨水タンクと井戸(近く掘る予定)が完成すれば、災害時などの非常時でも自立できる予定。電気、水道とも自立できるため、災害時などには、同事務所を地域の拠点として開放することも想定しているという。

 

 「えねこや」では、こうした自立型住宅の普及のため、新築「えねこや」、リノベーション「えねこや・リノベ」、部分改築「えねこや・プラス」の3つのメニューをそろえ、普及活動を展開していく。

 

 たとえば、新築住宅の場合は、「えねこや」のオフィスのように、まず、断熱気密性能の高い窓やドア、壁や屋根の構造体を「小さな小屋型」とする。電力は、3kw程度の太陽光発電パネルと大容量の蓄電池を設置し、ペレットストーブ、太陽熱温水器などをフル装備する。

 

 住宅の規模やリノベーションなどの場合で、完全オフグリッド化に心配がある場合は、切替え式で電力会社の契約を残してバックアップに使う方式もとれる。電力会社に頼らない「えねこや」型住宅が普及すると、日本のエネルギーの世界は本当に変わるかもしれない。

 

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