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トランプ政権が承認した米ダコタ・アクセス・パイプライン計画へ融資する日本の3メガバンク等に、環境NGOが抗議の預金引き揚げ呼びかけ。日本でも1万人強が署名(RIEF)

2017-02-17 21:36:26

DAPL2キャプチャ

 

 トランプ政権で開発許可が出されたダコタ・アクセス・パイプライン(DAPL)に、先住民らが反対をしている問題で、レインフォレストアクションネットワーク(RAN)や「350.org Japan」などの環境NGOが、事業に融資する日本の3メガバンク等の預金者らに、銀行に「融資をしないよう」呼びかける活動を展開している。

 

 DAPL計画は、ノースダコタ州の原油を、サウスダコタ州を経由してイリノイ州までの全長1886kmを結ぶパイプライン計画。すでに9割以上が完成しているが、ミズリー川を堰き止めて作った人工湖のオヘア湖の下を潜り抜けることから、同湖の汚染問題等を懸念する、周辺に居留する先住民族、スタンディング・ロック・スー族とシャイエン・リバー・スー族らが反対を続けている。

 

 オバマ前政権は就任終了前にパイプラインルートの変更を指示した。だが、トランプ政権はその指示を撤回、当初案通りの開発を承認した。これに対し、先住民たちは反対運動を続けているほか、運動を支援するNGOらは、事業に融資している金融機関に照準を絞った抗議行動を展開している。http://rief-jp.org/ct4/67341

 

 総事業規模は37億㌦。このうち25億㌦をシティを主幹事とする17の銀行が融資している。融資は14億㌦を残しており、この融資がされないと、事業は完成しない。トランプ政権の事業承認が出たことで、追加融資が見込まれている。

 

 こうした状況に米環境NGO、RAN事務局長のリンジー・アレン氏は、「同プロジェクトへの融資は、銀行が人権と先住民民族の権利に関して、どれだけ真剣かを試す重要な試金石。日本の三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行、SMBC日興証券などの銀行が融資に最終的にサインすることは、深刻な人権侵害に手を貸すことになる」と警告している。

 

 DAPL3キャプチャ

 

 三菱東京UFJ銀行と、みずほ銀行はシンジケート団の共同主幹事も務めている。 同氏は「RANは、すべての未解決問題についてスタンディング・ロック・スー族らが完全に満足する解決に至らない限り、追加融資の支払いを即座に停止し、プロジェクトのスポンサーに建設中止を求めるよう、すべての銀行に対して要求する」としている。

 

 今回のシンジケート団には日本の金融機関が多いこともあって、日本のNGOである「350.org Japan」などは、DAPL事業に融資している銀行の預金者に呼びかける「#DeFundDAPLキャンペーン」を昨年末から展開中だ。これまで、世界の25以上のNGOや住民団体の呼び掛けで、米国内外で50万以上のオンライン署名を集めている。

 

 日本でも1万以上の署名が集まっているという。またそれらの人の中には、対象の3メガバンクから預金を引き出し、預金口座も閉鎖したとしている。「350.org Japan」は引き出し額は、預金者の自己報告ベースで、全世界で6644万㌦(76億4000万円)に達している。

 

 反対運動を展開しているスタンディング・ロック・スー族らの先住民族代表が昨年末に、3メガバンクの頭取に宛てた要請文は、「あなた方の銀行は、エクエーター原則(赤道原則)に署名している。同原則は融資先のプロジェクトが自然環境や地域社会に与える影響を十分配慮して実施することを確認することを意味する。事業会社は住民のサポートを得ておらず、ルートのリスクも開示していない。これは同原則に反する」と指摘している。

 

 こうした指摘に対して、3メガバンクのうち、みずほ銀行は回答を拒否し、三菱東京UFJ銀行と、三井住友銀行は返答をしていないという。

 

http://www.ran.org/final_loan_disbursements_for_dakota_access_pipeline

http://world.350.org/ja/defund-dapl/

http://40w95614sn5m1jd0sb353zli.wpengine.netdna-cdn.com/ja/files/2017/01/LETTERTOBANKSDAPLFINAL-1.pdf