HOME10.電力・エネルギー |北海道・奥尻島で バイナリー地熱発電、今夏にも稼動へ。地元事業者が取り組み。日本政策金融公庫などが4億円融資(RIEF) |

北海道・奥尻島で バイナリー地熱発電、今夏にも稼動へ。地元事業者が取り組み。日本政策金融公庫などが4億円融資(RIEF)

2017-03-07 14:24:39

okushiriキャプチャ

 

 北海道の奥尻島で、バイナリー方式の地熱発電がこの夏に稼動する。地元奥尻町の石油製品の卸・小売業者が、地域興しと、災害時の安定電源確保等のために取り組む。発電出力は250kWと小規模だが、島内の50~60世帯分の電力を生み出す。日本政策金融公庫、北洋銀行、道南うみ街信用金庫が、合計約4億円を融資する。

 

 事業を始めるのは、越森石油電器商会。島内でガソリンスタンドを1店舗、経営するほか、島内の火力発電所や船舶向けに燃料を販売している。同島の西部の山間部には、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が熱源探査のために試掘した井戸が2本あり、現在は町営だが、これを同社が有償で借りる。

 

 井戸は深さ1600mあり、熱水を毎時45~50㌧取り出せるという。取り出した熱水の温度は100度強と低温だが、これを熱交換器を使って代替フロンを暖める。沸点の低い代替フロンは大量の蒸気を発生させてタービンを回し、効率的に発電できる。出力は250kWを見込む。

 

 binary1キャプチャ

 

    出力250kWのうち、50kWは自家消費し、残りの200kW分を北海等電力に売電する。固定価格買取制度(FIT)の適用で、地熱発電は1kWh当たり40円の売電価格が15年間保証されることから、年間約6000万円の収入が見込めるという。

 

 今月から建設工事に着手し、7月には発電が可能という。投資額は4億4000万円。一部自己資金を投じ、残りの約4億円を政投金庫などからの融資でまかなう計画だ。島内の電力は、北海道電力と、新電力の三菱電機系の両火力発電で大半を供給しているが、今回の地熱発電で全体の約3%分が「奥尻産」の地熱電力で供給されることになる。

 

 また、熱交換器から排出された温水は奥尻町と連携して再利用する。同町では「温浴施設向けに温水を供給するなど、町民へのサービス向上に使いたい」としている。越森石油電器商会の越森修平社長は「島内でのベース電源の確保につながる。災害時等の対策にもなる。だれかがやらないとできないので取り組んだ。奥尻をクリーンエネルギーの島として発信し、地域活性化につなげたい」と話している。

http://www.mapion.co.jp/phonebook/M02031/01367/20130341463/