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高知県山間部でソーラーシェアリング。地元高校との「協働」で、「万次郎カボチャ」を栽培。発電、農業、教育のコラボ(各紙)

2017-05-26 22:38:46

kouchi1キャプチャ

 

 高知県北部の山間部で、太陽光発電と農産物の栽培を同時に行う営農型発電(ソーラーシェアリング)が、地元の県立高校の学生たちとの協働で稼働した。高校生たちが栽培するのは加工用カボチャの「万次郎カボチャ」。再エネ、農業、教育のコラボというわけだ。

 

 場所は同県嶺北地方の本山町と土佐町にまたがる伊勢川山の山中。地元の土佐町酪農組合が土地の新たな活用法として、3年ほど前からソーラーシェアリングに注目し、連携する事業者を探していた。全国的に太陽光発電事業を展開する坪井工業(東京・中央)と、高知県出身でゴルフ用品メーカー、リョーマゴルフ(同・渋谷)の谷本俊雄社長が名乗りをあげた。

 

 元は牧草地だった農地に発電設備を設置、地域住民らが設立した会社が、太陽光パネルの下で、カボチャなどの栽培を行う。農地を転用したため、作物を育てることが発電事業を継続する条件。そこで、農作物は県立嶺北高の高校生たちの自主活動組織「嶺北ユースネイバーズ」(RYN)が農作物の栽培を引き受けた。

 

 今年4月に、地元の農業者ら10社以上が出資して株式会社「ファーマーズれいほく」を立ち上げ、酪農組合から農地を無償で借りて、農作物の栽培や加工販売を進める。県立嶺北高の高校生たちが、その栽培に参画した。

 

 太陽光発電の出力は、約4MWで年間約480万kWhの発電量を見込んでいる。土地を提供する地元の酪農組合には、年間約400万円の使用量を支払う。発電は昨年12月から始めた。

 

  県立嶺北高の2、3年生11人が今月初め、「万次郎カボチャ」の苗を栽培地に植えた。秋には収穫し、生徒が考案したレシピで、地元特産品として売り出す予定だ。

 

 発電所設立の場所は、標高900~980mの山間部にある。敷地は約8.5ha。約1万7000枚の発電パネルを設置した。パネルは高さ約2mの支柱の上に並べ、パネルの下に植えたカボチャに霜が降りにくい利点があるという。

 

 高校生たちが植えた「万次郎カボチャ」は生命力が強く、3kg弱の実を100個以上つける場合もあるという。管理が容易なので、栽培することにした。そのままでの煮炊きには向かないが、糖度が高いことから、ピューレなどに加工するなど、さまざまな料理に活用できる魅力があるという。

カボチャの苗を植える高校生たち

カボチャの苗を植える高校生たち

 

 万次郎カボチャは、標高の高い場所にも適した作物で、高知県で開発された品種。生命力が強く、管理の手間が少ない。収穫して1~2か月すると、糖度が20度を超えるほど甘みが強くなるという。

 

 学生たちは、秋には約30㌧の収穫を目指しているという。嶺北高校の萩原陽子教諭は「学生たちからはカボチャを利用した料理案が、コロッケやケーキにとどまらず、驚くような斬新なアイデアが出てきた」と手応えを語っている。

 

 「ファーマーズれいほく」では、木工品や焼酎を製造する地元の「ばうむ合同会社」(本山町)の協力を得て、万次郎カボチャを原料にした焼酎作りも計画しているという。

 

 ソーラーシェアリングは、稼働までの手続きが非常に煩雑であるほか、一定以上の作物の収量を確保する条件も課せられるなど制約が大きい。また太陽光発電の固定価格が引き下げられるなどの条件変更もあり、あまり普及が進んでいない。高知県内でも許可件数は5件という。

 

 http://www.kochinet.ed.jp/reihoku-h/mt/

https://mainichi.jp/articles/20170503/ddl/k39/100/437000c

http://www.nikkei.com/paper/article/?n_cid=kobetsu&ng=DGKKZO16863120V20C17A5LA0000