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クラウドファンディングで派遣された「福島のお母さん」が国連人権理事会会合で、日本政府の人権侵害是正を訴え。(RIEF)

2017-10-18 15:42:12

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 東京電力福島第一原発事故のため、ふるさとの福島からの避難を余儀なくされている女性がクラウドファンディングの支援によって、スイス・ジュネーブでの国連人権理事会の普遍的・定期的審査査(UPR)事前セッションに派遣された。女性は「(日本政府が)国策として原発を推進したにもかかわらず、政府や東電が原発事故の責任を認めず、悩み苦しんでいるお母さんたちがたくさんいる」と会議で発言、被ばくによって女性と子どもの健康への権利が侵害されていることを、各国政府代表者に訴えた。

 

 派遣されたのは園田さん(個人情報保護のため姓だけ公開)。政府が東電事故の対策が進んだと対外的にアピールするために、放射能汚染が続く地域への元住民の帰還を強引に推進していることで、特に女性や子どもの権利が侵害されていることを、身をもって訴えるために派遣された。派遣費用については、サポートするスタッフの渡航費用なども含めて、ネットでのクラウドファンディングを呼びかけたところ、676人から2,801,600円(入金確認済分)が集まり、目標とした250万円を超えた。

 

 10月12日に行われたUPRでのスピーチでは、前回2013年のUPR勧告で「「福島の住民の健康の権利を放射能から守るために必要な措置を講じること」と指摘されたのに、特に女性や子どもの権利が守られていない現状を問題提起した。

 

 園田さんは、「原発事故以来、私たちの人権は奪われたままだと世界に伝えたいです。国策として原発を推進したにもかかわらず、日本政府や東電が原発事故の責任を認めないために、悩み苦しんでいるお母さんたちをたくさん知っています。被害者への対応が、世界で今後も起こりうる原発事故後のモデルになってほしくありません」と語りかけた。

 

 園田さんの派遣を支援したグリーンピースジャパンでは、「原発事故から6年半が経ったが、今なお、5.5万人(多くのいわゆる自主的避難者はこれに含まれていない)の被害者が、県外での避難生活を余儀なくされている。にもかかわらず、今年の3、4月には、原発事故による避難指示が一部区域を除いて一斉解除され、避難者への住宅支援や賠償の給付等が次々と打ち切られている。その一方で、政府が発した原子力緊急事態宣言は、現在も発令中という矛盾が生じている」と指摘している。

 

 そのうえで、同団体のシニア・グローバル・エネルギー担当のケンドラ・ウルリッチ氏は、政府の帰還政策は、日本が締結している複数の人権条約に抵触するほか、国内法の「子ども被災者支援法」にも違反していると強調。日本政府に対し、①被害者への十分な住宅支援と賠償の継続② 避難指示解除や避難計画、原発再稼働といった問題の意思決定への市民・とりわけ女性参画の推進③男女の収入格差是正と被害者女性の経済的自立支援ーーを求めている。

 

 園田さんのUPRでのスピーチの当日、会場のヨーロッパ国連本部前に、高さ2.4m、幅4.5m、奥行2.2mの巨大な折り鶴アートが展示された。ネット等を通じて集めた数百人の人々からの園田さんへの応援メッセージや、脱原発への祈りなどが印刷されている。グリーンピースがスイスの折り紙アーティスト、シッポ・マボナさんと協働で製作した。

http://www.greenpeace.org/japan/ja/news/press/2017/pr20171012/