笹川平和財団、東南アジアの女性起業家支援のため「アジア女性インパクトファンド」設立へ。初年度10億円、数年以内に100億円規模に。日本版の「グラミン・ファンド」を目指す(RIEF)
2017-11-12 23:07:50
公益財団法人笹川平和財団は、東南アジアの女性と、女性企業家を支援することを、目的とする「アジア女性インパクトファンド」を今年度末に立ち上げる。ファンドの規模は当初10億円だが、数年以内に100億円規模に拡大する。東南アジア地域の女性の経済的エンパワーメントおよびジェンダー平等の促進を目指す。
(写真は、途上国の女性起業家育成の先駆けとなった、バングラデシュのグラミン銀行創設者のユヌス氏と女性起業家たち)
笹川平和財団は、今年度からの5つの重点目標のひとつに「女性のエンパワーメント」を掲げており、その具体的活動の目玉事業とする。東南アジアでは、多くの国や地域で長年の社会事情などから女性の就職率が低く、女性が安定的な収入を得るには自ら「起業」する以外に選択肢がないとされる。しかし、多く場合、女性は起業資金を金融機関から得られにくい状況にある。新たに設立するファンドはそうした女性、および女性起業家向けに資金を供給する。
ファンド資金の運用判断のため、女性支援の専門家8名以内で構成する。資金の供給は、まず女性関連のESGファンドやマイクロファイナンスファンド等のうち、「女性の経済エンパワーメント」あるいは「ジェンダー平等」が促進されると判断され、その効果が明確な基準により測定可能なファンドを選別して投資する。
次いで、こうした投資によって得られた収益を、同地域の女性起業家の金融アクセスの改善、知識・技術習得に直接支援する機関等に事業資金として供与し、女性活躍のインフラ整備を促進する。また、女性起業家支援のためのエコシステム構築(制度やインフラの確立)等の支援にも活用する、としている。
既存のファンド等が持つ資金供給のパイプを活性化するとともに、より幅広くインフラ機能を強化するという二段階の金融支援の体制を組むことで、東南アジア地域全体の女性活用の気運を高め、社会的インパクト投資の効果の最大化を図ることにつなげたい考えのようだ。
女性の起業に的を絞った創業資金の供給機関としては、ノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌス氏によるバングラデシュのグラミン銀行が有名。笹川財団のファンドは、日本版「グラミン・ファンド」を目指す形だ。
初年度となる今年度は、10億円をファンドに拠出するとともに、東南アジア地域の女性起業家支援のための調査・仕組みづくりを先行して実施する。また、ICTを活用した女性起業家の技術支援プログラムの推進にも取り組むという。