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途上国の貧困層向けソーラー・エネルギー・キットの新型製造のため、クラウドファンディング募集。目標2000万円。投資貢献としてカーボンオフセット・クレジットを手渡し。(RIEF)

2018-01-22 21:48:49

pear1キャプチャ

 

 途上国の貧困層向けに、太陽光発電で照明やエネルギーを供給する家庭用ソーラーホームシステム製品(SHS)の普及事業のためのクラウドファンディングが立ち上がった。カーボンクレジット事業を展開する「PEARカーボンオフセット・イニシアティブ」(東京)が、ファンドの募集主。簡易で廉価なシステム開発資金を2000万円調達し、見返りの特典はカーボンクレジットの手渡しという。

 

 募集は、クラウドファンディングサイトのミュージックセキュリティーズ(MS)が運営するインパクト投資サイトのセキュリティで始まった。PEARはこれまでもバングラデシュで、SHSの販売実績を持つグラミン銀行系のグラミン・シャクティと連携しているほか、エチオピアでもSHS販売を進めている。

 

 今回、パリ協定に基づき、途上国での低炭素型経済発展を進めるうえで、新たに開発の見通しが立った独自のSHS製品の初回生産分の製造費用を捻出するため、クラウドを活用する。

 

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(グラミン・シャクティがSHSとして開発したバイオガス活用の調理器具。旧来の薪などでの調理が不要になる)

 

 同社がこれまでに開発したミニソーラーホームシステム製品「EGAO(笑顔)」は、LEDやリチウムイオン電池製品を専業とするアイガジェット社(東京)と提携して製作した。10Wの太陽光パネルを使用し、ノートPC級(63Wh)のリチウムイオン電池内蔵のコントローラー、高効率高輝度のLED 照明(300ルーメン)が2から3灯、スマートフォン用バッテリーを用いたポータブル電灯(勉強補助、外出時や保安用途)、携帯電話充電用のUSB出力などを備えている。

 

 今回はこれをグレードアップ。20Wあるいは40Wのパネルを使用、バッテリーも従来型よりも、やや大きな型(73Wh)あるいは2倍強の型(146Wh)を選択できるようにした。これは19インチTVの視聴を可能にするためでもある。途上国の貧困層もテレビでサッカーなどのグローバルスポーツの視聴を楽しめるように、との思いがある。

 

 また通常のSHSはDC(直流)だけの製品だが、新製品はAC(交流)での出力も装備した。これにより、電気の消費量の少ない通常の電気製品が使える。LED室内照明は2–4灯分、携帯照明、UPS(無停電電源)機能も装備している。

 

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 (従来型のEGAOキット)

 

 製品のグレードアップのほか、販売面でも工夫を加えた。分割払いサービスを地元のディストリビューターが提供しやすくするために、PAYG(Pay-As-You-Go)機能を搭載するという。これは、ユーザーが支払った分だけ電気を使えるようにする機能で、一種のプリペイド方式。PAYGがあることで、利用者は初期費用を抑え(10㌦から30㌦程度)、年間の使用料も安くて済む。


 PEARはこれまでのバングラデシュや、エチオピアでのビジネス展開で、現地のパートナー企業としっかりとした連携体制を構築してきた。バングラのグラミン・シャクティのほか、エチオピアではテレコム公社のエチオテレコム関連の強力なディストリビューターHidasie Telecom Share Companyと提携している。

エチオピアでのSHSの設置事例
エチオピアでのSHSの設置事例

 

 BOPビジネスは途上国の貧困層に、援助ではなく、地域住民の収入に即した形の製品を販売することで市場を育成することを目指す。基本は薄利多売のビジネスだ。このため販売面では、低所得者層の可処分所得に合わせて、分割払いのローンを提供したり、家庭向けギフト商品にするなど、現地の実情に即した多様な商品展開が必要になる。そのためには、現地市場を熟知したディストリビューターをパートナーに迎えることは、特に重要な要素になっている。

 そのBOP市場は、潜在的に巨大で、実際にこの3年で2倍のスピードで急成長している。PEARはBOPビジネスの促進とともに、温暖化対策の促進にもつなげるため、個人投資家や企業が貢献できるファンディングの場として提案しているわけだ。

 

 ファンドへの投資家としては、気候変動問題や途上国のエネルギー問題に関心や問題意識を持つ人々を対象とする。さらにはサステイナブルな社会課題の解決(SDGs : 持続可能な開発目標)への貢献を目指す企業などの投資も歓迎している。

 

 投資の見返りは、一口(10500円)につき、0.5 tCO2(2,000円相当)のカーボンオフセット・クレジットを提供する。投資家は出資することで、自らも温暖化ガス削減に資するクレジットという「地球への貢献」を入手できるわけだ。入手したオフセット・クレジットは市場で売却することもできる。

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(ソーラーホームシステムEGAOのロゴ)

https://www.securite.jp/fund/detail/4137

http://www.pear-carbon-offset.org/company/company.html