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環境NGOのグリーンピース。福島事故地での独自放射性物質調査を、初めて新潟県境にも広げ、クラウドファンディングで資金調達目指す(RIEF)

2018-09-07 07:49:42

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 東京電力福島第一原発事故の周辺地域への影響を、独自に調査し続けている環境NGOのグリーンピースは、調査範囲について、これまでの福島県から隣接する新潟県にも広げ、初めて両県境の汚染状況も調べる。今回の調査で第29回目になり、調査範囲の拡大とともに、多くの人に汚染状況を知ってもらうため、調査費用の一部300万円をクラウドファンディングで調達する。

 

 福島の放射性物質の汚染地域では、政府によって、避難指示解除、賠償や住宅供与の打ち切りが次々と進められ、住民は帰還を迫られている。政府は除染が進展しているとしているが、環境省の調査は個人の住宅については、敷地内の数か所しか測らず、放射線量の変化を計測する継続的な調査も行っていないという。

 グリーンピースでは「これでは、住民の方が『戻ったらどれくらい被爆するのか』という一番知りたい情報が不十分で、不安を増長させている」と指摘している。そこで同団体は、これまで独自の調査をして安全性の確認を進めている。

 

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  今年の調査では浪江町の避難指示解除前に除染が行われた場所を中心に調査し、除染の効果を検証する。同時に、福島県からより広い範囲への影響の広がりを調査するために、新潟県との県境にも調査を拡大する。

 

 調査は、秋に20日間の予定で実施する。調査場所は、福島県浪江町で継続的に実施するほか、新潟県境地域の汚染状況を初めて調査する。調査チームメンバーは10名で、調査費用総額の見積もりは492万318円となっている。このうち、300万円をクラウドファンディングで全国から集める計画だ。

 

 出資額は一口1000円から出資者の希望する額。資金使途は、調査活動に使うがその主な内容は、スタッフの旅費、機材、撮影・編集、報告書作成(日英ほか)、調査報告会、広報、ウェブサイト作成等を予定している。また出資者には、プロジェクトの進捗や結果などを知らせる。

 

 福島県浪江町の帰宅困難区域からの避難者で、昨年の調査から、調査に協力している菅野みずえさんは、「放射能は、色もない、臭いもない、味もないから隠せてしまう。だからこそ、綿密な調査こそが、大切なのだと思います。見える形で示す事こそ、隠したいものを人々に見せることができます。敷地をくまなく数千箇所も測るグリーンピースの調査は信頼できます」と語っている。

 

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 グリーンピースの放射線調査チームには、チェルノブイリの放射能汚染の調査等を行ってきた核物理学者や、放射能測定の専門家を含む。調査機器も高精度の機材を動員でき、専門性と中立性、公平性を確保できる。調査結果は毎年、グリーンピースの各国事務所を通じて、世界中に多くの言語で発信、メディアでも報道されている。また、国連人権機関に調査結果を意見書などの形で提出している。

 

 グリーンピース エネルギー担当の鈴木かずえ氏gは、「原発事故を2度と繰り返さないためには、原発事故を風化させず、原発事故の影響によって今なお、そして今後も長く続く放射能汚染の実態を明らかにすることが必要。クラウドファンディングを通してより多くの人々に調査について知ってもらい、寄付に参加していただくことで調査結果を共有、福島原発事故の風化を止めたい」と語っている。


 https://www.greenpeace.or.jp/cloud/donate201802_input.php