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お寺の僧侶たちが中心になり、電力小売会社設立。地方のお寺の支援に。当面は外部から電力調達し、檀家等に販売へ。将来は寺の本堂の屋根借り発電も(各紙)

2018-10-17 15:54:13

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  電力小売ビジネスが広がる中、浄土真宗本願寺派(西本願寺)の僧侶らが、電力の小売会社(TERA Energy」を立ち上げた。中国地方の5県で来年1月から檀家や地域住民向けに販売事業を始めるという。人口減でお寺の経営も苦しい一方、西本願寺の各寺院は収入がなくても上納金を本山に納めねばならず、お寺の中には経営危機に直面するところも少なくないという。そんな環境を打破する太陽光発電の光輪がお寺と地方を照らすのかどうか。

 

 TERA EnergtyのHP(https://www.tera-energy.com/)によると、「おてらのでんき」が目指すこと、として、「気候変動や自死などの社会課題について取り組んできた僧侶が集まり、TERA Energy 株式会社を設立した。エネルギー事業を通じて、社会貢献に取り組むお寺をサポートする、世界初の会社。地域と共に歩み続けるお寺をサポートすることが、安心して暮らせる地域づくりにつながると考えている」と説明している。

 

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 電力小売事業については、「クリーンなエネルギーを推進することで、四方よし〈売り手よし・買い手よし・世間よし・未来よし〉の社会の実現を目指す」としている。

 

 資本金402万円で、社長は竹本了悟氏。事業内容は、①社会貢献するお寺の支援②再生可能エネルギーを主体とした電力販売③HEMSサービス及び関連業務、などとなっている。

 

 詳細な事業計画等は今月25日に記者会見するとしているが、報道等によると、福岡県みやま市の自治体電力会社「みやまスマートエネルギー」社から電力を調達する計画。料金は中国電力より2%程度安くなる予定で、初年度は一般家庭4000戸の顧客獲得を目指すという。事業が軌道に乗った場合は、太陽光発電などを自社で行う計画もあるという。

 

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  当面、事業化の対象とする中国地方は、西本願寺の檀家の多い地域だが、過疎化の波は広がっている。お寺の経営で一番大きいのは檀家からのお布施収入。ただ、西本願寺の場合、檀家の数が減少しても、本山に収める上納金(賦課金)は、収入額とは別に、一定額の納付を義務付けており、檀家数の減少したお寺は上納金の支払いに苦慮し、滞納するところも少なくないという。

 

 今回のTERA Energyの事業内容の第一に、「お寺の支援」が入っているのは、そうした背景を踏まえた可能性がある。ただ、電力小売事業はお寺の宗教活動ではないので、個々のお寺が実施する場合は収益事業とみなされる。今回、お寺とは別の電力会社を設立したのは、宗教活動と切り離した形なので、電力販売収入を、どうお寺の支援に回すのかは、不明。お布施とするのか。

 

 また将来、お寺の本堂の屋根に太陽光発電設備を設置して、お寺自身が発電することも想定される。そうした場合、同社が本堂の屋根借り発電に乗り出すことになると思われる。

https://www.tera-energy.com/