HOME |日本版GABVを目指す「価値を大切にする金融実践者の会(JPBV)」発足。変革を促す「エコ・システム金融」「かせぐまちづくり」を掲げる(RIEF) |

日本版GABVを目指す「価値を大切にする金融実践者の会(JPBV)」発足。変革を促す「エコ・システム金融」「かせぐまちづくり」を掲げる(RIEF)

2018-12-12 12:58:43

JPBV1キャプチャ

 

  超低金利の長期化、サステナビリティ重視の課題等の中で、金融の新しい役割を見出そうという組織が立ち上がった。「価値を大切にする金融実践者の会(JPBV)」で、欧州中心に展開しているサステナブルバンキングの国際ネットワークである「The Global Alliance for Banking on Values(GABV)」をモデルとしている。

 

 GABVは環境銀行の先駆者として知られるオランダのトリオドス銀行などが中心になって2009年に、環境、社会、経済のトリプルボトムラインの達成を重視した銀行経営を展開する各国の金融機関の連携組織として立ち上げられた。現在、世界54の金融機関が参加している。

 

 リーマンショックで主要なグローバル金融機関が行き詰まる中、地域に立脚したこれらの金融機関は、経営面でも、地域への貢献面でも、さらにサステナブルな新規事業等の促進という面でも、地道な活動を展開してきた。

 

  GABVは①トリプルボトムラインを踏まえたビジネスモデル②コミュニティに根ざし、実態経済に貢献する③透明かつ包摂的なガバナンスの展開④長期的な経営の強靭性⑤顧客との長期的な関係を軸に据え経営⑥これらの原則のすべてを銀行の組織文化としての取り込みーーを掲げている。

 

GABVに日本から唯一加盟そた第一勧信の新田理事長
GABVに日本から唯一加盟した第一勧信の新田理事長

 

 日本からは、今年、東京を拠点とする信用組合の第一勧業信用組合が初めて参加した。GABVへの参加は、単に署名するだけではできない。GABV側の厳格な活動実績の評価に基づいて行われる。また参加後も、毎年、チェックを受け、資金使途先の情報開示等を進めることが求められる。一方で、人材育成やリスクマネジメント手法の開発等を共同で推進するほか、米MITも加わったリーダーシップの育成プログラム、ベストプラクティスの開発等も行っている。http://rief-jp.org/ct7/80262

 

 JABVこうしたGABVの理念・活動を、日本の金融の変革に応用しようという狙いで立ち上がった。日本の経済は超低金利が長期化し、金融機関と企業の関係の希薄化等が進んでいる。一方で、環境、社会面でサステナビリティ向上の新たな課題への金融としての取り組みも求められている。そうした中で、地域課題の解決と価値創出を持続的に推進する「かせぐまちづくり」モデルの開発も目指す。

 

 大手銀行、地銀、信金・信組という日本の金融界を長年形作ってきた「縦の業態構造」を超え、また預金貸金という「待ちの金融」から、日本の金融が脱皮する「変化」の流れを生み出そうという思いも込められているようだ。

 

 発起人代表は「株式会社UEUU」の代表取締役江上広行氏で、共同発起人に第一勧信の新田信行理事長、フィールド・フロー株式会社代表取締役の渋谷健氏が就任した。江上氏と渋谷氏等は、第一勧信のGABV加盟をアレンジする役割を果たした。

 

  JABVは11日に設立集会を開催、新田理事長は「私の中では、GABVと国連主導の持続可能な開発目標(SDGs)は一致している。SDGsを金融に当てはめたものが、GABVではないかと考えている。(JABV)はそうした活動を金融界に広めるためのインフラになればいいと思う」などと語った。

 

 設立集会には、金融関係者、コンサル、その他、合計約70人が参加。城南信用金庫前理事長の吉原毅氏も姿を見せた。

 

 JABVの連絡先はegami@uruu.biz