HOME5. 政策関連 |気候変動対策の遅れで「絶滅の危機」に直面する庶民・弱者の「反乱」が英国中心に展開。仏「黄色いジャケット」、スウェーデンの「グレタさん」等の直接行動さらに広がる(RIEF) |

気候変動対策の遅れで「絶滅の危機」に直面する庶民・弱者の「反乱」が英国中心に展開。仏「黄色いジャケット」、スウェーデンの「グレタさん」等の直接行動さらに広がる(RIEF)

2019-04-16 22:56:39

「絶滅への反乱」の意思表示をする人々

 

 フランスの「黄色いジャケット」運動や、スウェーデンのグレタ・ツゥーンベリさんによる「気候変動対策のための登校拒否」運動等に続く形で、「絶滅への反逆(Extinction Rebellion: XR)」を求める環境アクティビストの一斉行動が、15日のロンドンで展開された。

 

 XRは、気候変動対策を十分に取らないことの影響は、人類等しく被るのではなく、対策をとりづらい庶民や弱者に、しわ寄せされると指摘。それは戦争の構造とまったく同じだとして、「絶滅させられることへの拒否」の意思表示行動をとっているわけだ。

 

 デモに参加した人々は、英政府に対して、2025年までにCO2排出量をゼロにする政策とともに、気候影響や生態系損失問題に対処するための緊急の行動計画を打ち立てる市民協議会の設立等を求めている。そうした主張を市民にアピールするため、ロンドン市内の主要なランドマーク拠点を占拠した。

 

EX3キャプチャ

 

 15日午後までに、通行をシャットダウンして人の波で占拠したのは、ウォータールー橋のほか、議会前広場、マーブルアーチ、オックスフォードサーカス、ピカデリーサーカスの主要拠点。

 

 デモへの参加者は約5000~1万人規模で、子ども連れの両親や科学者、教師、環境NGOなど多様な人々が、年齢的には、老人から子供までが、参加した。人々はデモ行進で各拠点に集まった後、拠点に座り込んで交通を遮断、抗議の意思表示をアピールした。

 

 ロンドンでの行動は、英国のExtinction Rebellionが呼び掛けた。今後、数日の間に、33カ国の80の都市で同様の抗議行動が展開される予定という。ロンドン市内での抗議行動では、マーブルアーチを中心的な拠点として、気候変動対策の不備を訴える抗議の意思表示のため、各地に座り込み等を展開する。今後数日間、首都ロンドンの交通をシャットダウンさせる計画という。

 

EX1キャプチャ

 

 拠点となるマーブルアーチに直結するハイドパークには、各地から集まった人々のテントが林立する状況になっている。

 

 15日の夜には、ウォータールー橋の橋の上に座り込んで籠城する人々を、警察が拘束を始め、深夜までに50人を逮捕した。しかし、ロンドンを目指して周辺の地域から、趣旨に賛同する人々が続々と詰め掛けており、同橋を占拠する人々の数はむしろ増え続けているという。16日の朝には、それらの人々が橋上の人々の輪に続々と加わっていった。

 

 XRのスポークスマンによると、同橋は一夜明けた16日になっても、まだ数百人が占拠しており、しかも「人々のモラルは非常に高い」という。人々は、警察に逮捕されることは覚悟のうえで、むしろ逮捕を前提にして参加しているとされる。このため、警察が座り込みの人々の輪から、逮捕者を引き抜くと、残った人々からは「頑張って来い」といった喝采が上がる状況という。

 

EX6キャプチャ

 

 警戒に当たる警官も強制的に抗議の人々を排除するというよりも、人々の流れの中に自由に入り混じって、排除よりも整理作業を続けている。XR活動のリーダーの一人であるRoger Hallam氏は「ロンドンで公共スペースを人々が抗議のために埋め尽くすということは、過去30年間はなかった初めてのことだ」と手応えを語っている。

 

 

 気候変動対策の遅さ、政策の不備に対する人々の不安や不満が、抗議行動に駆り立てているのは間違いない。科学的には温暖化による気候変動激化の影響がデータと被害とで、すでに検証されている。にもかかわらず、多くの国の政府は既存勢力の権限や力関係の温存を優先し、気候変動の影響を受けやすい弱者や一般市民への配慮は後回しだとして、「普通の人々」の怒りが高まっている。

https://www.theguardian.com/environment/2019/apr/15/thousands-expected-in-london-for-extinction-rebellion-protest

https://rebellion.earth/act-now/events/news/