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関西電力、未電化地域に電力を届ける「WASSHA」と連携、アフリカのタンザニアで、太陽光発電によるLEDランタン貸出事業に乗り出す。SDGs貢献のBOPビジネス展開へ。(RIEF)

2019-08-07 08:28:49

WASSHA1キャプチャ

 

 関西電力は、アフリカの未電化地域に電力を届けるサービスを展開する「WASSHA」(東京)と連携し、タンザニアで太陽光発電の電力をLED ランタンで地域住民に貸し出す事業に乗り出す。関電が太陽光発電とランタンの機材を、WASSHAが現地で提携する「キオスク(小口店舗)」ネットワークに提供、利用収入に応じてシェアする方式をとる。国連の持続可能な開発目標(SDGs)に合致するBOP(Base of the Pyramid)ビジネスとなる。

 

  WASSHAは、東京大学大学院・阿部力也教授の「電力ネットワークイノベーション(デジタルグリッド)」の研究からスピンオフしたスタートアップ企業。タンザニアの未電化地域の村々のキオスクを活用し、店舗に設置した太陽光発電パネルで発電、充電したLEDランタンを一晩=約25円で貸し出すビジネスを展開している。

 

 同社は、現在120人以上のローカルスタッフを抱え、1100以上のキオスクをネットワー ク化している。ただ、WASSHAの浸透率は タンザニアだけでも約0.5%、サブサハラアフリカ全体ではその数百分の一でしかない。多くの住民は今も、火事や呼吸器疾患のリスクを抱えてロウソクや灯油ランプ の生活を続けている。

 

タンザニアの村々にある「キオスク」のお店
タンザニアの村々にある「キオスク」のお店

 

 WASSHAは、アフリカの未電化地帯をなくすには、現在の仕組みの量的な拡大を急ぐ必要があるとして、関電との業務提携に踏み切った。出資や投資等は含まれていない。関電が、現地のキオスク7500店舗分の機材を支援する形をとる。その現地での運営・ランタンの販売等をWASSHAが担当、利用者が利用した料金の一部を関電にも配分する仕組みとした。

 

 ランタンの貸出料金は、各キオスク店舗のオーナーがスマートフォンを操作してモバイル決済する。課金されると、充電ボックスを通じてランタン、ラジオ、タブレットなどにも通電される仕組みだ。WASSHA がキオスクから回収する売り上げもモバイル決済で行われる。

 

キオスクのタナには、貸し出し用のLEDランタンが並ぶ
キオスクのタナには、貸し出し用のLEDランタンが並ぶ

 

 関電は、今回の共同事業によるSDGs貢献とともに、BOPビジネスの将来的な拡大も視野に置いている。LEDランタンの貸し出しに伴うビッグデータを整備・解析し、レンタ ルではなく購入が適した利用者への電力機器の販売、個人以外の地域全体を電化するミニグリッドシステムの展開等の可能性だ。

 

 WASSHAにとっては、関電が供給する機材によって、同社が関与するキオスク店舗ネットワークが一気に一万店近くに広がることになる。これを受けて、キオスク向けのEコマースサービスやSaaSサービス、さらにはキオスクをハブにして未電化地域の利用者に向けのEコマースサービス等を展開する考えだ。

 

 WASSHA は、これまでも、東京大学エッジキャピタル(UTEC)や、日本政策投資銀行、イノベーティブベンチャーファンドなどから資金を調達。2016年10月にはJICA(国際協力機構)から3億円を調達した。

https://www.kepco.co.jp/corporate/pr/2019/0806_1j.html

https://wassha.com/news/pdf/pr_20190806_01.pdf