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バングラデシュのグラミン銀行創設者のムハマド・ユヌス氏に、労働争議絡みで逮捕状執行。背景に、ハシュナ首相との対立説も(RIEF)

2019-10-10 23:14:20

Yunus1キャプチャ

 

  貧困層に無担保小口融資を行うグラミン銀行(Grameen Bank)の創設者で、ノーベル平和賞の受賞者であるムハマド・ユヌス(Muhammed Yunus)氏(79)に対し、バングラデシュの裁判所が逮捕状を出した。同氏が会長を務める関連会社での労働争議に関する裁判所の出廷命令に応じなかったためという。

 

 ユヌス氏は現首相のシェイク・ハシュナ女史と長年の宿敵関係にある。今回の騒ぎも、同国及び国際的にも影響力の強いユヌス氏に対するハシュナ女史側の「攻撃」との見方もある。

 

 逮捕状を執行したのは首都ダッカの「ダッカ第三労働裁判所」。同裁判所議長のRohibul Islam氏が発行した。労働争議はグラミングループの一社、グラミン・コミュニケーション社で起きた。同社の3人の従業員が労働組合を設立しようとして、社長の Naznin Sultana氏と副ジェネラルマネジャーのKhandaker Abu Abedin氏によって解雇された、というもの。

 

各地にあるグラミン銀行のひとつ
各地にあるグラミン銀行のひとつ

 

 従業員らの申し立てにより、Sultana氏ら2人は裁判所に出廷した。だが、ユヌス氏は海外に滞在していたため、期日までに出廷しなかったという。出廷した2人は期日までに出廷したことで、保釈されている。

 

 ユヌス氏は、2015年にも同国の税務署から、1.51㌦の税金を納税しなかったとして召喚された経緯もある。ユヌス氏とハシュナ氏の対立は、ハシュナ女史のアワミ党と、ライバルのカレダ・ジア氏のバングラデシュ民族主義党による二大政党制の打破を目指して、2007年にユヌス氏が新党「市民の力」を設立したことで亀裂が生じた、とされる。

 

 ユヌス氏は2011年に自らが設立したグラミン銀行の会長の座を追われている。この時もハシュナ女史の圧力との見方がもっぱらだった。ユヌス氏が退任を強いられた後のグラミン銀行は、ハシュナ氏が任命した経営陣によって運営されている。

 

 ユヌス氏の弁護士は、同氏は海外に滞在しているが、裁判所からの出廷命令は出国後に出ており、帰国次第、適切な法的手続きを取るつもりという。

 

 ユヌス氏は経済学者で、1983年に自身でグラミン銀行を創設。地方の貧困地域の人々が自ら小規模ビジネスを立ち上げる際に、無担保小口融資を提供するマイクロファイナンスのシステムを開発。同システムは他の国にも広がり、途上国の普通の住民の起業を応援する金融機能を実現した功績で、2006年にノーベル平和賞を共同受賞している。

 

https://www.indiatoday.in/world/story/bangladesh-court-issues-arrest-warrant-against-nobel-laureate-muhammad-yunus-1607734-2019-10-10