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韓国が義務的排出権取引制度(C&T)を導入決定。2015年から実施(FGW) 政治主導で決定

2012-05-06 05:47:30



韓国政府は、地球温暖化対策を促進するため、2015年から国内の産業界を対象として義務的排出権取引制度(C&T)を導入する法律を成立させた。アジア地域で、国の法律で裏づけされたC&T制度の導入を決めたのは韓国が初めて。日本は議論は先行してきたが、実施面では韓国に抜かれたことになる。

韓国は世界で第8位の温室効果ガス(GHG)排出国で、京都議定書においては「途上国扱い」となってきたが、ポスト京都では義務的削減が課されることが明らかなことから、積極的な国内での削減策を推進してきた。今回のC&T導入に際して、2020年までに産業分野からのGHG排出量を30%削減することを決め、その削減を効率的に実施するためC&Tを制度化する。

」韓国でのC&T導入に際しても、産業界から強い反対があった。政府は法制化方針を早くから明らかにしてきたが、予定より3年遅れた形となった。今国会でも成立が危ぶまれたが、与野党を通じた超党派の協力で、産業界の反対を阻止し、法律成立を優先させた。政治の主導力が発揮された形である。日本では、義務的なC&Tの制度化については、経団連が強い反対姿勢をとっており、政府内でも経済産業省が阻止の前面に立っている。原発再開・推進の構造と、きわめて似ている。

2015年の本格導入に先駆けて、韓国環境省は今年中に、産業界に自主的な形での排出規制を要請する。クレジットのやりとりはなく、総量規制だけになるため「the voluntary “cap without trade” 」で、Target Management System (TMS) と呼ばれる。2015年からの規制対象は工場等の一事業所単位でCO2排出量が25,000 トン以上か、企業全体で 125,000 トン以上のところが対象になる。中小企業は自主的な排出削減にとどめる。各企業の排出枠(クレジット)は 最初は無償配布される。

取り引きには、国内でのオフセットクレジットのほか、国際的なCDMのクレジットも認められる予定。 産業界の法制化阻止は失敗した形だが、産業界の関心は、規制の柔軟化、規制デザインの簡易化などにシフトしつつある。

http://www.env.go.jp/earth/ondanka/det/os-info/mats/kr20110914.pdf