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政府のエネルギー環境会議、原発比率15%案が浮上(FGW)

2012-05-09 18:51:17

わが国の今後のエネルギー基本計画と、温暖化対策の基本方針を策定するため、夏に向けて作業を進めている政府のエネルギー環境会議(通称、エネカン)で、最大の焦点である総発電に占める原子力発電比率案として、「15%案」が浮上してきた。15%だと、温暖化対策の中期目標2020年25%削減と整合するとの試算結果に基づく。

 

これまで原発比率については、総合資源エネルギ―調査会基本問題委員会が、先月、原発比率ゼロ、20%、25%、35%の4案を提示し、それを元に温暖化対策の議論が進んでいた。しかし、中央環境審議会地球環境部会において、「『ゼロ~20%』の間の選択肢が不足している」との指摘があり、これを踏まえて基本問題委員会が15%案を提示した。同案を中央環境審議会の小委員会が試算したところ、費用対効果を踏まえた経済合理的な対策を前提とした中位レベルの対策で、2030年の温室効果ガス排出量は26%削減(基準年1990年比)となり、温暖化対策中期目標の25%削減をクリアすることがわかった。

 

原発15%比率の場合、高位レベル(費用効果を度外視して、対策を最優先した場合)では温室効果ガス排出量は32%削減、現行の対策を単純延長する低位レベルでは、16%削減となる。これまでは基本問題委員会が提示した原発比率20%で、中位レベルによる温室効果ガス削減率28%が、原発比率を下げつつ、温暖化対策ともっともバランスする水準としてみられていた。

基本問題委員会では、原発比率ゼロの場合、高位レベルで温室効果ガス25%削減が可能、とはじいているが、この場合は、国民経済への負担が経済合理性を超えて高まる高位レベルで可能になるとの認識。

ただ、15%案はエネカンの議論の中では、「参考値」としての扱いで、選択肢に入っているかどうかは今の段階では微妙。また、15%以下の10%、5%では温暖化対策と両立が可能なのかどうかという試算は示されていない。

 

http://www.env.go.jp/council/