HOME8.温暖化・気候変動 |11月に英で開催予定のCOP26、来年に延期。新型コロナ感染対策を最優先。エスピノサUNFCC事務局長「人類にとってコロナな緊急の危機。気候変動は最大の脅威」と指摘(RIEF) |

11月に英で開催予定のCOP26、来年に延期。新型コロナ感染対策を最優先。エスピノサUNFCC事務局長「人類にとってコロナな緊急の危機。気候変動は最大の脅威」と指摘(RIEF)

2020-04-02 12:23:21

COP2666キャプチャ

 

 新型コロナウイルス感染のグローバルな拡大を受け、国連と英政府は1日、11月に英グラスゴーで開催予定の国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の日程を2021年に延期すると発表した。会場に予定されていた会場はスコットランド自治政府がコロナ感染者を臨時に収容する施設にする予定。COP26ではパリ協定で各国が公約した国別対策公約(NDCs)の改定を決定する予定だが、環境NGOらは「開催延期は各国政府が温暖化対策まで延期することを意味しない」と指摘している。

 

 英エルギー相でCOP26の議長を務めるAlok Sharma氏は「世界は現在、例のないグローバルチャレンジに直面している。各国はまず人々の命を救い、コロナとの闘いに集中する必要がある。われわれは引き続き各国と共に気候危機に立ち向かうための取り組みを進め、新たな日程を決めるメドがつくことを期待している」と述べた。

 

 国連気候変動枠組条約のエスピノサ事務局長は「(コロナは)人類が直面する緊急の脅威だが、人類にとって長期的に最も大きな脅威は気候変動であることを忘れてはならない。(コロナを克服して)経済はやがて再出発するが、この再出発は、各国が21世紀の経済を、クリーンでグリーンで、健康で安全かつより強靭な方向に向かわせるチャンスでもある」としている。

 

 COP会議は世界中から政府関係者、専門家、NGOらが約3万人も集中して集まる。このため、コロナ感染の懸念が続く中では実現が困難との見通しが出ていた。またCOP26は英国に加えてイタリアも共催の形となる予定だが、イタリアでは感染者数が増大しており、「COPどころではない」のが実情。英国でもジョンソン首相も感染するなど深刻な状態にある。

 

 COP会議は昨年のCOP25も当初開催予定だったチリで社会不安が高まり、急遽、スペイン・マドリードで代替開催になっている。COP26の延期で、2年連続して異例な会議になる。COP26をめぐっては、コロナウイルスの影響が長期化する場合を想定して、出席者を限定したり、期間を縮小したり、あるいはオンライン会議を導入する等の「代替案」が検討されてきた。http://rief-jp.org/ct8/100356

 

 しかし、規模を縮小しても感染を完全に遮断することは困難であるほか、オンライン会議等を巡っては各国間の意見の対立を、ネット上で調整することは容易ではないことなどから、結局、日程の先送りに至ったとみられる。

 

 皮肉なことに、世界的なコロナウイルス感染の拡大で、各国で経済活動が停滞していることから、CO2の排出量も急激に低下している。その結果、中国を初め各地で大気汚染が急減、温暖化の影響も一時的な歯止めがかかっているとみられる。人類の膨大な経済活動が温暖化を引き起こしていることを結果的に証明する形でもある。

 

https://unfccc.int/news/cop26-postponed