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急増する世界の風力発電容量(上):新興経済国(AFP)

2012-05-10 14:44:25

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【5月8日 RenewableEnergyWorld.com】最近発表された2つの報告書によると、2011年の世界の風力タービン市場は大幅に発電容量を増やしたばかりでなく、新記録も達成した。

 世界風力エネルギー協会(World Wind Energy AssociationWWEA)と世界風力エネルギー会議(Global Wind Energy CouncilGWEC)による報告書は基本的に細部まで一致している。2011年に世界で新規導入された風力発電の設備容量は、WWEA報告で4200万キロワット(前年3760万キロワット)、GWEC報告で4100万キロワット(前年比21%増)。これにより全世界の総風力発電容量はWWEA値で「2億3800万キロワット超」、GWEC値で「2億3900万キロワット近く」となった。要するに二つの報告書が相互に確認しあったのは、世界経済の苦境にもかかわらず、風力エネルギー市場は依然、目覚しい成長を続けているという事実だ。

 主要工業国では市場の停滞が報告されているなか、WWEA、GWECはともに新興市場に注目している。

■中国

 2011年は中国経済にとって厳しい年だったにもかかわらず、同国が風力発電における世界市場のリーダーとして地位を固めたとの見解でWWEA、GWECともに一致している。2011年、同国が新規導入した設備容量は1800万キロワットで、これまでの合計発電容量は6200万キロワット(GWEC)または6300万キロワット(WWEA)となった。これは世界全体の4分の1以上にあたる。

 しかし、いくつかの要因で風力エネルギー業界の成長は鈍化した。この中には米国との貿易摩擦に端を発し、国産の設備を使う風力発電事業者への助成金を打ち切るという中国政府の決定も含まれている。これにより輸入設備を使用する事業者だけが助成金を受けられる事態となっている。また新たな規制下では風力発電業界に対する政府の監督が強化され、風力発電事業の認可取得がいっそう難しくなった。

 もうひとつの要素は、中国国内のタービン製造業者同士の価格競争だ。この全面戦争の中で最も影響を受けているのが風力タービンメーカーだ。製造コスト削減のプレッシャーの中で近年、タービン価格は確実に下落を続けている。

■インド

 WWEAの報告書によると、風力発電設備容量の2011年新規導入分でインドは中国、米国に次ぐ第3位。同年、270万キロワット分の設備容量が導入され、インドの総風力発電容量は1600万キロワットをやや上回った。GWECはインド風力タービン製造者協会(Indian Wind Turbine Manufacturers Association)のD・V.・ギリ(D.V. Giri)会長の言葉を引用した。「2011年はインドにとって、新たに300万キロワット超の風力発電を導入するという画期的な年となった。この数字は2015年までに毎年500万キロワット増となるだろう。新たな政策を打ち出すために現在進行中の政府によるイニシアチブは、大量の民間投資を(風力発電)業界に呼び込むことになる」

■その他の新興市場

 GWECでは新興市場の中で、中国やインドより経済規模の小さいブラジルやメキシコといった市場でも、風力発電利用が勢いづいているとみている。中でもGWECは、ブラジルを筆頭に計120万キロワット分の設備容量を新規導入した中南米にとって、2011年は風力発電の「当たり年」だったと評している。

 ブラジルは前年から50%増の58万7000キロワットを新規導入し、同国の総発電容量は150万キロワットを超えた。ブラジル風力エネルギー協会(ABEEOLICA)のペドロ・ペレッリ(Pedro Perrelli)事務局長によれば、ブラジルでは2016年末までに700万キロワット以上のパイプラインが完成する。また風力発電セクターは、ブラジル国立経済社会開発銀行(National Economic and Social Development Banks)の金利政策に促され、大量な投資を引きつけている。

 

http://www.afpbb.com/article/economy/2876770/8910593