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スウェーデンも、首都ストックホルムで操業していた国内最後の石炭火力発電所を閉鎖。計画を2年前倒し。EUの「脱石炭火力国」は3か国に(RIEF)

2020-04-21 22:17:49

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 先週末に国内唯一の石炭火力発電所を廃止したオーストリアとほぼ同時期に、スウェーデンも国内最後の石炭火力発電所を閉鎖した。同国の廃止予定は2年先の2022年だったが、前倒しした。今回の閉鎖は、新型コロナウイルス対策とは関係なく、温暖化対策の強化を進めることを優先した決定だ。これでEUの「脱石炭火力国」は、先行したベルギーを含め3か国となった。

 

 (写真は、前倒しで閉鎖されたストックホルムの石炭火力発電所)

 

 廃止された石炭火力発電所は、首都ストックホルムの電力会社Stockholm Exergi ABのVärtaverket発電所のKVV6。1989年に操業を始めて以来、ストックホルム市内全域に電力と熱を供給してきた。同発電所は4月16日に停止した。

 

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  今回の閉鎖は冬の暖房シーズンが終了したことを受けて、予定より2年前倒しで実行した。同社は「この冬の暖冬が示すように、発電所の燃料は依然よりも少なくて済んでいる。(温暖化の進展を意味しており)、発電所を閉じることは良いことだ。すべてのわれわれの発電を再生可能エネルギーとリサイクルエネルギー(水力)とするのが我々の目標だ」との声明を出した。

 

 ExergiCEOAnders Egelrud氏は「ストックホルムはこれまで30~40年間も、ほとんど化石燃料に依存してきた。今、われわれはカーボン依存から脱して、再生可能でリサイクル可能なエネルギーを土台とした循環型のエネルギーシステムに向かう旅を続けていくことになる」と指摘している。

 

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 KVV6の停止で、ExergiのCO2排出量はこれまでの年間80万~90万㌧から、ほぼ半分の40万㌧に削減される見通し。ストックホルム市は、2040年に天然ガスを含め、また自動車燃料を含めて、すべての化石燃料からの脱却の実現を目指している。

 

 欧州全体の石炭火力発電廃止を求める運動を進めてきた環境NGOの「Europe Beyond Coal」は、オーストリアに続くスウェーデンの取り組むを歓迎する声明を出した。同NGOのキャンペーン担当のKathrin Gutmann氏は「欧州の石炭事業が減少の方向に向かっているのは明確」と指摘している。

 

 EU内では、ベルギーが2016年に最初に国内の石炭火力発電所をすべて廃止した。続いて、先週、オーストリアが2000年以来、長年、同国内外で論争になっていたフェルバンド(Verbund)社運営のメルラッハの石炭火力発電所が停止した。http://rief-jp.org/ct5/101608

 

 2025年までに石炭火力廃止を宣言しているのは、フランス(2022年)、スロバキア(2023年)、ポルトガル(同)、英国(2024年)、アイルランド(2025年)、イタリア(同)、ギリシャ(2028年)、オランダ(2029年)、フィンランド(同)、ハンガリー(2030年)、デンマーク(同)、ドイツ(2038年)などが続く。

https://www.stockholmexergi.se/nyheter/kvv6/