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古着からバイオジェット燃料開発。国際規格取得で国内初の商用化へ。Green Earth Institute、日航等が共同で。古着回収には全国の衣料品・デパート等が協力(RIEF)

2020-04-23 13:28:21

JAL1キャプチャ

 

  Green Earth Institute(東京)は、日本航空等と連携、回収した古着を原料としたバイオ ジェット燃料を完成させた。このほど国際規格も所得、これによって実際のフライトに活用できることになる。世界的にバイオジェット燃料の実用化が進んでいるが、同社では、わが国で国際規格を取得した国産バイオジェット燃料の商用化は初めて、としている。

 

 取得した国際規格は「ASTM D7566」。GEIのプロジェクトには、航空燃料を活用する日航のほか、古着を集めるリサイクルプロジェクト「BRING」を運営した日本環境設計、公益財団法人地球環境産業技術研究機構(RITE)、技術開発や衣料品回収等に多くの企業、機関が協力した。

 

 プロジェクトは、国内で集めた古着を原料とし、国内の複数の会社の協力で既存の設備を使って国産バイオジェット燃料を開発する「純国産燃料」の実現でもある。

 

回収した古着(綿製品)を攪拌する
回収した古着(綿製品)を攪拌する

 

 生産のプロセスは、まず、「BRING」で古着(綿製品)を回収する。それらをアルカリ処理したうえで、糖化発酵で綿の成分のセルロールを糖に変換。その糖をRITEが開発したコリネ型細菌を使うバイオプロセスでバイオジェット燃料の原料になるイソブタノールに変換する。

 

 次に、イソブタノール溶液を複数の蒸留装置で99%以上に純度を高めて濃縮。それに触媒を用いてイソブチレン化し、イソブチレン同士を反応させ、C8、C12、C16オレフィンを作成、オリゴマー化する。さらに水素を用いて安定的なパラフィンに転換するという工程を経る。

 

発酵させてイソブタノールを製造する
発酵させてイソブタノールを製造する

 

 これまでも、さとうきびやトウモロコシ等の食料品を原料にしたバイオジェット燃料はある。だが、食料問題との関係が課題だ。今回は古着の再生活用ということで、非可食バイオマ スである綿繊維を原料としてイソブタノールを国内で初めて製造した。また既存の設備での製造にもメドをつけたことで、経済性の課題も克服できる可能性がある。

 

  GEIは「非可食バイオマスを原料としたバイオジェット燃料は、食糧問題を起こすこ となく、地球温暖化問題の解決に資することが期待される」と成果を強調している。 古着の回収プロジェクトの「BRING」では「10万着で飛ばそう! JALバイオジェット燃料フライト」とのキャッチフレーズで、衣料品会社、デパート等多くの企業を通じて、消費者の古着を回収した。キャンペーンにはリサイクル拠点として29社、1428店が参加、当初目標の10万着を大きく上回る約30万着を集めた。

 

 ただ、当初の予定では、製造したバイオジェット燃料を搭載したJALのチャーターフライトを運航することになっていたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、フライト運航のイベントは、残念ながら中止された。「コロナ克服後」の大空に向かって、離陸してもらいたい。

http://gei.co.jp/ja/img/newsrelease/news_20200413.pdf

http://www.jeplan.co.jp/uploads/7ea55519534945d16071e8ff1a0bfef2.pdf