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米軍の環境対策に危機、軍事委員会がバイオ燃料関連予算の削除を提言(AFP)

2012-05-26 07:37:56

RImpaCの演習風景
RImpaCの演習風景


【5月25日 RenewableEnergyWorld.com】ハワイ(Hawaii)沖で米軍が隔年で実施している世界最大規模の海上軍事演習、環太平洋合同演習(RIMPAC)まで約1か月と迫るなか、軍に代替燃料を提供するバイオ燃料業界には逆風が吹き始めている。

 米下院軍事委員会(House Armed Services Committee)による翌年の国防予算に関する提言書で、化石燃料よりコストの高いバイオ燃料の開発および購入費の削除案が盛り込まれたのだ。さらに化石燃料より環境汚染度の高い燃料を政府機関が購入することを禁じた規制について、国防総省は適用外とすべきと提言。これにより「フィッシャー・トロプシュ法(Fischer-Tropsch method)」を用いて石炭や天然ガスから液体燃料を得ることが可能となるが、この手法では精製原油を燃やすよりも、より多くの二酸化炭素が発生する。

 この提言についてオバマ政権は、審議中の同予算案は「米国の化石燃料依存度を高めることで地政学上の不安定要因となり、米国の国外権益を脅かしかねない」とし、拒否権の行使も辞さないとしている。

 なお軍事委員会は全ての代替燃料の使用を否定しているわけではない。

■バイオ燃料を後押ししてきた米軍

 米軍は元来、バイオ燃料産業の発展を後押しする強力な支援者だった。さらに米海軍は、今年のRIMPACで「グリーン部隊(Green Strike Force)」を披露する計画で、同演習に向けた戦闘機および軍艦用の燃料として、バイオ燃料企業ダイナミック・フュエルズ(Dynamic Fuels)から調理油や藻類から抽出したバイオ燃料45万ガロンを購入している。

 バイオ燃料産業側も、米軍のこうした動きをバイオ燃料価格値下げに向けたサインと受け止め、事業意欲を高めていた。
 
 軍事演習で用いられるバイオ燃料は混合率50%のもので、1ガロンあたりの価格は15ドル(約1200円)前後となっている。海軍は2020年までに代替燃料の比率を全体の50%とする計画だ。

 だがバイオ燃料の価格がすぐに化石燃料並みに下がることは考えにくく、軍事委員会の提言通りとなれば、海軍の目標達成は困難となる。

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2880132/9000352