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京都議定書ドーハ改正案、批准国出そろう。年末までに成立へ。京都議定書第二約束期間等の根拠明確に。同期間中の日本の温暖化対策の不十分さ、改めて浮き彫りに(RIEF)

2020-10-05 15:38:12

どは002キャプチャ

 

 京都議定書の「積み残し」だった京都議定書ドーハ改正案が今年末に成立する見通しになった。同改正案は、議定書の2020年までの第二約束期間の設定や、その間の日本を含む先進国全体の温室効果ガス18%削減等を定めている。すでに2030年までのパリ協定が成立しているため、同改正成立の実質的な意味は大きくないともいえるが、議定書の第二約束期間が正式になることで、同期間に参加せず、温室効果ガス削減率も改正案を大きく下回る日本の温暖化政策の不十分さが改めて浮き彫りになる形だ。

 

 ドーハ改正案は2012年12月にカタールのドーハで開いた国連気候変動枠組み条約第18回締約国会議(COP18)で決まった。京都議定書の第一約束期間終了に伴う第二約束期間を2013年1月1日~2020年末までとすることや、その間のCO2排出量を1990年比18%削減、温室効果ガスに三ふっ化窒素(NF3)を追加すること等を決めた。

 

 しかし、同議定書改正案は、発効に必要な締約国(192か国)の4分の3(144か国)の批准が必要で、これまで成立が遅れていた。また2015年のパリ協定で2030年を前提とした国別温暖化対策貢献(NDCs)を先進・途上の両国が約束するなど、2020年を超えた対応がすでに定められていることから、ドーハ改正の実質的な意義は少なくなっていた。

 

UN001キャプチャ

 

 ところがこのほど、ジャマイカとナイジェリアが相次いで批准をした。このため賛成国は144か国に達した。改正案は参加受理から90日以内に発行する手順であり、年末までに同改正が成立する見通しとなった。議定書の第二約束期間は第一期間と同様、先進国のみを対象とし、実際に約束に参加したのは、EUやオーストラリア等の37か国にとどまった。日本は参加しなかった。

 

 ドーハ改正の採択で、京都議定書は第二約束期間にまで延長されたことが正式に決まったことで、京都議定書の開催国であった日本が前半しか義務を果たさなかったことが、改めて国際的に確認されたことになる。また第二約束期間の削減率の18%(90年比)減に対して、日本の現状(2018年度実績)は90年度比2.8%の削減でしかなく、大きく出遅れているといえる。

 

 これに対して第二約束期間に参加した37カ国の削減率は、最新の国連事務局の報告によると、2018年までで25.3%削減と、日本の削減率の10倍近い成果をあげている。第二約束期間に参加しなかった日本政府の「無策ぶり」が国際的にも浮き彫りになる形だ。

 

  ドーハ改正案が成立する見通しとなったことに対して、UNFCC事務局長のパトリシア・エスピノーサ氏は「議定書ドーハ改正案の成立見通しが得られたことは、気候変動問題に対処する多国間の団結、協力の強いシグナルだ。2020年までの行動についての政治的コミットメントを示すことは、来年のCOP26に向けて重要な一歩だ」と強調した。

 

 COP26の議長を務める英国のAlok Sharma氏も「ジャマイカとナイジェリアの批准によって、ドーハ改定が成立する見通しとなったことは、素晴らしい。COP26に向けて、われわれは緊密な協力をさらに強化する必要がある」と指摘している。