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天然ガス購入計画推進の見合わせを=米政府が日本などに要請(WSJ)

2012-05-31 22:29:01

野田首相とオバマ米大統領(4月)
関係筋が30日明らかにしたところによると、オバマ米政権は日本などの同盟国に対し、米国産天然ガスの購入計画について推進をしばらく見合わせるよう伝えている。米国では、シェールガスを中心に天然ガスの生産が急増しており、センプラ・エナジーやドミニオン・リソーシズなど米エネルギー企業数社はエネルギー省に天然ガスの輸出許可を申請を出している。

野田首相とオバマ米大統領(4月)


これは、自由貿易協定(FTA)を締結していない国への天然ガス輸出には、政府の許可が必要なためで、センブラ、ドミニオンの両社は日本企業と提携して、液化天然ガス(LNG)の対日輸出を望んでいる。またエクソン・モービルのティラーソン最高経営責任者(CEO)は30日、米メキシコ湾やカナダからの天然ガス輸出の道を探っていることを明らかにした。

米国は現在、パイプラインを通じカナダとメキシコに比較的少量の天然ガスを輸出しているだけで、本格的な輸出については論争を巻き起こっており、米国のエネルギー戦略の不透明性が浮き彫りになっている。

米シンクタンク米外交問題評議会のマイケル・レビ上級研究員は、「米国はまず、エネルギー生産国としての役割をめぐる基本的な問題に答えを出さなければならない」と指摘し、「この議論は、これまでにない新しい問題であるため取り扱いが難しい」と語る。

関係者によれば、野田佳彦首相は4月30日にワシントンで行われたオバマ米大統領との首脳会談で、天然ガス輸出問題を提起したが、米側は政治的に微妙な問題であることなどを理由に、状況を見守るよう伝えた。米政府当局者は、「日本は非常に難しい状況にあり、同情する」としながらも、「この問題についてもっと多面的に考察する必要があるだろう」と述べた。

日本は、福島第1原発事故を受け、現在すべての原子力発電所の稼働を停止しており、長期的には脱原発の方向を目指すとみられている。

米政府当局者によれば、米国の天然ガス価格はアジア・欧州に比べはるかに安いため、日本だけでなく「世界中から輸出要請が来ている」。アジアでは、天然ガス価格は原油価格と連動しているケースが多い。

マコウスキー上院議員(共和、アラスカ州)は4月にオバマ大統領に対し、天然ガス輸出の認可を迅速化するよう求めた。一方、マーキー下院議員(民主、マサチューセッツ州)など一部民主党議員は、天然ガスの輸出を抑えることでエネルギー安保を強化できると主張している。

記者: Tennille Tracyhttp://jp.wsj.com/US/node_451985/?nid=NLM20120531