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全日空(ANA)、食品廃棄物等を原料とするフィンランド製のジェット燃料を定期便に活用。CO2排出量90%削減。定期便への使用は国内初(RIEF)

2020-11-06 21:51:48

ANA003キャプチャ

 

 全日本空輸(ANA)は6日、食品廃棄物などを原料とするCO2排出量の少ないジェット燃料を使った国内で初めての定期便の運航を公開した。フィンランドのNESTE社が製造した「Sustainable Aviation Fuel(SAF)」を混合したジェット燃料を、羽田発米ヒューストン行きの米ボーイング「787-9」に給油、同機は予定通り飛び立った。

 

 NESTEが製造するSAFは、食肉加工の過程で捨てられる脂身などの廃棄物を原料としている。航空機のジェット燃料としての安定性については国際規格のASTM D1655並びにDEF STAN 91-091を満たしている。また国際的な第三者認証機関のISCCによるライフサイクル評価では、既存のジェット燃料使用時に比べて約90%のCO2削減効果が証明されているという。

 

6日に飛び立ったANAの国際航空便
6日に飛び立ったANAの国際航空便

 

 ANAではすでに10月24日以降、羽田・成田発の定期便で使用している。日本発の定期便でSAFを混合した燃料を使用するのは日本の航空会社としては初めて。ANAでは「新型コロナウイルスの影響で厳しい経営が続く中、燃料のコストは膨らむが、世界的な環境規制の強化に対応するのが狙い」と説明している。

 

 ANAが使用するSAFは、NASTEとの間で結んだ中長期的な戦略的提携の覚書に基づいて、2023年以降、NESTEがシンガポール製油所で商業生産するSAFを調達していく予定。SAFの輸入・品質管理・空港への搬入に至るまでのサプライチェーン体制については、NESTEと伊藤忠商事が共同で構築した。

ANA002キャプチャ

 今回、ANAがNASTEから調達したSAF混合のジェット燃料量は、約5500㌧分。東京―ロンドン間をボーイング777-300ER型機で運航した場合、片道換算で約60便に相当するという。ANAは、2050年までに航空機の運航で発生するCO2排出量を、2005年比で50%削減する目標に掲げており、同燃料の使用はその一環。

 日本航空(JAL)も同様にCO2排出量の少ないジェット燃料の導入を進めている。官民ファンドの海外交通・都市開発事業支援機構(東京・千代田)などと共同で出資する米フルクラム社製の燃料を2022年度にも、米国発日本行きの国際線定期便で導入する方針という。日本の空の便も、クリーン化が進みそうだ。

 https://www.anahd.co.jp/group/pr/snapshot/20201106.html