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東芝、石炭火力発電事業転換打ち出す。新規の石炭火力事業から撤退、高効率火力発電開発は継続。再エネ事業は強化(RIEF)

2020-11-11 12:11:30

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  東芝は10日、石炭火力発電事業をTCFDが示す「移行リスク」として位置づけ、同事業の転換を打ち出した。新規の石炭火力発電所の建設事業から撤退するとともに、再生可能エネルギー事業への成長投資を進めるとともに、CO2分離回収技術(CCS)等の開発を推進する。石炭火力事業では高効率火力発電は継続開発する。

 

 東芝の「サステナビリティレポート2020」によると、気候変動による同社の気候関連財務リスクとして、移行リスクを①政策・規制(省エネ規制の強化等によるコ スト増加、対応できなかった場合の販売 機会損失)②技術・市場(省エネ製品・サービス、脱炭素エネルギー 技術に対する市場ニーズへの対応遅れ、 国・地域で異なるエネルギーミック スへの対応遅れ等での販売機会損失)③評判(気候変動への対応遅れ等による評価・評 判の下落、それによる株価・売上への影響)――を指摘した。

 

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 これらへの移行リスクのうち②の「技術・市場」リスクに対する同社の対応策の一つとして、「 石炭火力発電ビジネスからの転換」を盛り込んだ。ただ、あくまでも「転換」であり、「撤退」とは明記していない。

 

 同時に気候変動によるビジネス機会(製品・サービス)として、EV市場の拡大による関連製品需要の増加とともに、「再エネ事業の拡大や、脱炭素エネルギー技術の需要増加」を掲げた。その中では、①石炭火力発電ビジネスからの転換②再エネ事業への成長投資実施③CO2分離回収技術や高効率火力発電技術の開発推進--の3点をあげている。

 

 つまり、非効率な旧来型の石炭火力事業を「移行リスク」と評価する一方で、高効率火力発電は「ビジネスチャンス」と位置付けている。経産省が進める石炭火力事業の整理路線に沿った方針といえる。

 

 「ビジネス機会」と位置付けた、高効率火力発電については、資源エネルギー庁の分類では、超々臨界圧火力発電(USC)や石炭ガス化複合発電(IGCC)、石炭ガス化燃料電池複合発電(IGFC)等が想定されるが、いずれも現状では、CO2排出量は天然ガス火力発電よりも多いとされる。http://rief-jp.org/ct8/107951?ctid=72

 

 日本経済新聞の報道では、同じく「ビジネス機会」と位置付けた再エネ事業については、2022年度までに同分野にエネルギー部門全体の年間投資額の約5倍に相当する1600億円を振り向ける。また今後は、洋上風力発電の風車や次世代太陽電池の研究開発などへの投資を増やすほか、再エネ関連事業の規模も19年度の約1900億円から、30年度に約6500億円まで拡大したい考えだという。

 

 東芝の石炭火力事業は、中国を除く世界市場での設備納入シェアは11%を占めている。発電所建設や蒸気タービン製造販売、保守等の関連サービスを一貫して提供している。連結売上高3兆3898億円(2020年3月期)のうち、火力・水力発電関連は2225億円を占める。ベトナムなど国内外で受注済みの約10件の工事は完成まで続けるとしている。

 

https://www.toshiba.co.jp/sustainability/jp/report/pdf/report20.pdf

https://www.nikkei.com/paper/article/?b=20201111&ng=DGKKZO66050510Q0A111C2FF2000