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「導入から解体まで」の温室効果ガス排出を比較、米研究(AFP)

2012-06-04 14:29:44

【5月31日 RenewableEnergyWorld.com】どんな形のエネルギーも温室効果ガス排出が本当にゼロになることはない。このことは再生可能エネルギーの能天気な賛同者が見落とし、その声高な批判者が誇張している点だ。

 再生可能エネルギーを産出するあらゆる施設の試験、建設、輸送、据え付け、解体に大量のエネルギーが使われている――これに石炭関連のエネルギーが使われることもしばしばだ。だが、クリーンエネルギー施設がその始まりから終わりまでの間に排出する温室効果ガスを、化石燃料を使うエネルギー施設の同期間と比べた場合はどうだろうか?

 米国立再生可能エネルギー研究所(National Renewable Energy LaboratoryNREL)は5月上旬、プロジェクトの承認や環境への影響、将来の政策に対してCO2のライフスパン排出がどのような意味を持つかについて比較対照し、理解を深めることのできる分析結果を発表した。少なくとも、雨の降る午後の暇つぶしにはもってこいだ。オンラインのデータベースを閲覧してみてほしい。

内容の一部を紹介すると・・・
・太陽光発電プロジェクトの始まりから終わりまでの温室効果ガス排出量は、石炭発電所の約5%
・太陽光と風力はライフタイム排出量がほぼ同等
・原子力発電は再生可能エネルギーと同レベル
・天然ガス発電は最終報告書に掲載されなかったが、NRELによると発電量1キロワット時あたりの温室効果ガス排出量は石炭発電のおよそ半分

 これらの数字を得るに当たってNRELの研究チームは、バイオエネルギー、太陽光、地熱、水力、海洋エネルギー、風力、原子力、天然ガス、石炭などのエネルギー技術についての2000以上の研究を対象に、独自のモデリングをあてはめた。NRELはデータベースを公開しているので、たとえばトラフ式集光型太陽熱発電施設と、最近注目を集めている波力発電技術の違いを比較することができる。

 同プロジェクトを率いたNREL研究者のガービン・ヒース(Garvin Heath)氏はこう語る。「われわれは自分たちの選択したエネルギーがどのような影響を社会全体に与えるのかもっと知る必要がある。温室効果ガスと気候変動はその議論の一部だ。未来のエネルギーシステムを考える上で、そこに移行することがどのような意味を持つのかについて正確な全体像を持つ必要がある。この方法論を用いればより正確なイメージに達することができる。ある技術の代わりに別の技術を選んだことで得られる便益についてもっと確信をもって語れるようになる」

 NRELの研究結果は6本の記事と1本の論説として、専門誌Journal of Industrial Ecologyの5月の特別増刊号「Meta-Analysis of Life Cycle Assessment」に掲載された.

http://www.afpbb.com/article/environment-science-it/environment/2881238/9028788