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岩谷産業、オーストラリアの電力会社と連携、再エネ由来の「グリーン水素」を本格的製造へ。日本への輸入を前提に。三菱重工業の取り組みに続く(RIEF)

2020-11-30 12:49:02

iwataniキャプチャ

 

 岩谷産業は、再生可能エネルギーから水素を製造する「グリーン水素」事業に本格的に乗り出す。オーストラリアの電力会社のスタンウェル(Stanwell)社と連携し、同国クィーンズランド州で、太陽光・風力発電から水素を製造、日本に輸入することを目指す。水素エネルギーについては、現在は、天然ガス等の化石燃料から製造する「ブラウン水素」の開発が主流だが、「2050年温室効果ガス排出量ネットゼロ」を実現するには、「グリーン水素」の実用化が不可欠とみられている。

 

 オーストラリアでのグリーン水素事業については、三菱重工業も同国の南オーストラリア州で、同事業を展開する事業会社に出資し、2022年末にはグリーン水素と同水素を活用したアンモニア製造事業を展開することを表明している。同社も、将来は開発した「グリーン水素」を日本に輸入するとしている。http://rief-jp.org/ct8/108583

 

 岩谷が連携するStanwellはクィーンズランド州政府が保有する。同州はオーストラリアの北東部に位置し、州都はブリスベン。太陽光発電や風力発電に適した地域が各地にある。それらの電力を電気分解して水素を製造、さらに液化製造プラントで液化しえ、大型の液化水素運搬船で日本に輸出する計画だ。商用化に際しては、Stanwell社の保有する電力網やノウハウ等を活かせるとしている。

 

 StanwellのCEO、Richard Van Breda氏は「岩谷産業との連携は、 グリーン水素事業を商業化可能な方向に進めるために、官民連携でフィージビリティスタディとエンジアリングデザインを展開する。電力会社だけでなく、輸送、産業等の多様な分野で、グリーン水素への強く、拡大する関心が高まっている。特に日本では、政府が水素エネルギー支援の姿勢を強めていることから、グリーン水素輸入への需要が高まっている」と評価している。

 

 現在のところ、グリーン水素は再エネ発電コストが天然ガスより高いことから、天然ガス由来の「ブラウン水素」の市場シェアが大きい。そこで、事業のコストダウンのため、再エネの拡大、電解施設のスケールアップ等が課題となっている。岩谷とStanwellの計画の詳細は公表されていないが、大規模水素製造施設の建設を想定しているという。

 

 岩谷は別途、水素・燃料電池の利活用拡大のため、水素燃料電池船の商用化運用に向けた検討を東京海洋大学、関西電力、名村造船所、日本政策投資銀行などと展開している。

 

 同社は、「日本政府が宣言したカーボンニュートラル、脱炭素社会の実現に向け、 海外で大量かつ安価な液化水素を確保し、究極のクリーンエネルギーである大規模な水素利活用の社会実装を具現化して、社会貢献に努めていく」とコメントしている。

 

 同社は1941年に水素の取り扱いを開始して以来、水素ビジネスでは、製造から輸送・貯蔵・供給・保安に至る一貫した全国ネットワークを築いている。2006年に大阪・堺市に国内初の液 化水素製造プラントを建設、現在では年間1億2000万㎥(3拠点・6プラント)の液化水素製造能力を有する。日本での水素市場シェアは 70%を占める水素のリーディングカンパニー。

 

http://www.iwatani.co.jp/img/jpn/pdf/newsrelease/1374/20201127_news_jp2.pdf

https://www.stanwell.com/our-news/media/central-queensland-a-future-hydrogen-export-powerhouse/