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英石油大手BP、「2050年ネットゼロ」目標の企業増加を見越し、カーボンオフセット事業に参入。森林クレジット米最大手のファイナイト・カーボン社の過半の株取得(RIEF)

2020-12-17 16:31:37

FCキャプチャ

 

 英石油大手BPは16日、カーボンオフセット開発を手掛ける米ファイナイト・カーボン(Finite Carbon : FC)社の株式の過半数を取得したと発表した。BPはFCの事業を米国以外の地域でも拡大する方針。自社の「2050年温室効果ガス排出量実質ゼロ」の目標達成に充当するほか、同様の企業が増えることで、オフセットクレジット需要が増大することを踏まえ、クレジット売買も手掛ける方針という。

 

  買収額は明らかにしていない。FCは米国最大の森林カーボンオフセットの開発事業者として知られる。BPは同社を傘下に置くことで、FCのカーボンオフセットビジネスをグループとして拡大していくとしている。FCは森林保有者と契約し、森林の保全、回復、持続可能なマネジメント等を提供することで、森林のCO2吸収力を高めて、オフセットクレジットを市場で売却する事業を展開している。

 

 FCの創業者でもあるSean Carney氏は「カーボンに価格を付けることは、森林を守り、植林し、回復させる努力をするものなら、誰でも可能。しかし現状は、こうした活動を広げるための定量化やモニタリング、評価等のインフラ機能が限られている。今回BPとパートナーシップを結ぶことで、クレジットの価格付けという壮大な環境挑戦への支援を受けるとともに、小規模な土地所有者でも市場にアクセスできることを期待している」と述べている。

 

 FCは現在、米国で300万エーカー(東京ドームのおよそ26万個分)の森林を対象に50のカーボンオフセット事業を展開している。すでに独検証証機関によって7000万以上の検証済みのオフセットクレジットを登録しており、年間、森林所有者に5億㌦以上のクレジット売却収入をもたらしているという。

 

 同社ではBPとの連携で、事業規模を拡大し、2030年まで森林所有者に追加的に10億㌦の収入をもたらす追加投資を見込んでいる。2021年の早期に新たに、CORE CarbonSM というプラットフォームを開設する。同プラットフォームは、小規模な森林所有者らでもウェブを通じてカーボンオフセット市場にアクセスできるようにデザインされている。

 

 小規模森林・土地所有者は、これまでは取引コストやモニタリング、レポーティング等にコストがかかりオフセット市場に参入しづらかった。FCのサイトはそうした小規模供給力を集合化する役割を目指すとしている。

 

 bpのイノベーションとエンジニアリング担当の代表副社長のDavid Eyton氏は「FC社は自然による気候解決(NCS)を管理し、資金をつけていくグローバルプラットフォームを建設する能力がある。われわれとパートナーになることで、事業の拡張・拡大を支援できる。イノベーションを支援し、我々自身のネットゼロを支援することで、重要なエネルギービジネスの構築に貢献してくれるだろう」と評価している。

 

https://www.bp.com/en_us/united-states/home/news/press-releases/bp-acquires-majority-stake-in-largest-us-forest-carbon-offset-developer-finite-carbon.html

https://www.finitecarbon.com/2020/12/16/bp-acquires-majority-stake-in-largest-us-forest-carbon-offset-developer-finite-carbon/