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IHI、太陽光発電の電力を原料とする「グリーン水素」開発へ。オーストラリアのCS Energy社と共同で。天然ガス等を原料とする「ブラウン水素」と競争へ(RIEF)

2021-02-03 17:23:15

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  IHIは、オーストラリアのクイーンズランド州営電力会社であるCS Energy社と共同で、太陽光発電を源燃料とする水素製造実証事業を開始したと公表した。水素製造では、褐炭や天然ガス等の化石燃料を原料とする「ブラウン水素」方式もあるが、IHIは製造工程でCO2を発生しない「グリーン水素」事業の確立を目指す。

 

 (写真は、「グリーン水素プロジェクト」を実証するコーガンクリーク発電所の設備)

 

 同社が「グリーン水素事業」を実証するのは、CS Energy社が所有するコーガンクリーク(Kogan Creek)発電所。同発電所の隣接地に太陽光発電事業設置し、その発電電力から水素を製造・販売する「コーガン水素実証プロジェクト」の事業化に向けた実証事業(フィージビリティスタディ:FS)を始めた。

 

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 同プロジェクトは、太陽光発電・蓄電池・水電解装置・燃料電池を装備した実証プラントを活用して、太陽光の再エネ電力からカーボンフリー水素を製造し販売するとともに、余剰の再エネを電力市場に販売することを目指す。

 

 IHIは、2018年に福島県相馬市で「そうまIHIグリーンエネルギーセンター」を開設し、コーガン・プロジェクトと同様の設備で構成する地産地消型エネルギーマネジメントシステムを開発・運用してきた。「そうま」で培った技術を生かして、CS Energyとの共同FSを進めるとしている。

 

「グリーン水素」製造の流れ
「グリーン水素」製造の流れ

 

 実施するFSでは、エネルギーマネジメントシステム設計や水素市場の検証などを行い、プロジェクトの事業性を評価する。事業性評価後に実証プラントの建設および運用も目指すとしている。

 

 CS Energyはオーストラリアで3500MWの電力を供給するクイーンズランド州政府所有の電力会社。IHIはこれまで同社に対してカライドC石炭火力発電所(420MW×2基、2001年運転開始)を建設・納入した実績を持つ。また同社カライドA石炭火力発電所での酸素燃焼の実証プロジェクトOxyfuel Project(2004年~2018年)にプロジェクトパートナーとして参加した経験もある。

 

コーククリーク発電所の一部
コーガンクリーク発電所の一部

 

 太陽光発電を利用する「グリーン水素」の場合、日照時間が限られることがネックの一つになる。ただ、オーストラリア北東部に位置するクイーンズランド州の場合、豊富な日照時間が確保でき、発電した電力は蓄電池に貯蔵することで課題を克服できる。また、同地はアジアに近接していることから、水素の輸出にも有利と指摘している。

 

 天然ガスや石炭等の化石燃料を原料として水素を製造する「ブラウン水素」方式の場合、化石燃料燃焼に伴って発生するCO2をカーボン回収貯留(CCS)システム等を活用して、回収・貯留する必要がある。CCSが機能すればCO2フリーとなるため、「ブルー水素」と命名する向きもある。だが、CCSが故障したり機能しない事例も起きている。https://rief-jp.org/ct8/110357

http://rief-jp.org/ct4/109928

 

https://www.ihi.co.jp/ihi/all_news/2020/resources_energy_environment/1197000_1601.html

https://www.csenergy.com.au/what-we-do/generating-energy/kogan-creek-power-station