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「頭に銃を突きつけて交渉強いる」=IATAもEU批判(Reuters)

2012-06-14 07:38:22

IATA年次総会の会場(12年6月11日、中国・北京)
IATA年次総会の会場(12年6月11日、中国・北京)

 【北京11日ロイター時事】国際航空運送協会(IATA)は11日に北京で開かれた年次総会で、欧州連合(EU)の排出権取引制度(ETS)に関する国際的な対立を沈静化させるようEUに要求した。EUは世界の航空会社に対し、ETSに基づく排出枠の一部購入を義務付ける計画だが、中国、米国、インドを中心に反対し続けている。

 EUは航空会社のフライトのうち、欧州の部分のみでなく、全てを対象にして二酸化炭素(CO2)排出量を計算し、それに基づいて手数料を徴収する計画を打ち出した。一部の批判者は、この制度が国内の航空業務への干渉だと指摘している。

 IATAのトニー・タイラー事務局長は総会開幕のあいさつで、EUのETSをめぐる貿易戦争を回避するために世界的な合意形成が必要だとの見解を全ての当事者が共有していると述べた。その上で「欧州は多国間の合意に向けて真摯(しんし)に協議するのではなく、一方的にETSを実施する構えのように見える」と批判し、「域外の国々にとっては、頭に銃を突きつけられた状態で交渉を求められているようなものだ」と述べた。

 中国とインドは自国の航空会社にETSに参加しないよう命じており、EUから報復措置が取られるとの見方が強まっている。

 同事務局長は「欧州には、対立沈静化に向けた信頼できる措置を取り、皆が望むような世界的な解決策を見つける作業に取り組む責任がある」と指摘した。

 これに対し、EUは汚染軽減に向けた国際的な目標を達成する手段としてETSが必要だと指摘。世界的な取り決めの締結に向けてほとんど進展がみられないことから単独で行動をせざるを得ない、と説明している。

 IATAは、欧州債務危機の悪化によって航空業界の収益が落ち込む恐れがあるが、貿易戦争になればさらに減る可能性があると懸念している。

 

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012061200436