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大ガス・三菱商事・シャープ、加で世界最大級の太陽光発電所 (各紙)

2012-06-15 06:17:25

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大阪ガス、三菱商事、シャープの3社はカナダでメガソーラー(大規模太陽光発電所)事業に参入する。再生可能エネルギーを好条件で買い取るオンタリオ州に約350億円を投じて9つのメガソーラーを新設。総発電能力が10万キロワットと世界最大級の発電所群を共同運営する。天候によって発電量が左右される不安定な電力を系統につなぐノウハウなどを大規模な発電所で確立し、国内外での事業拡大につなげる。


 3社は近く共同出資の独立発電事業者(IPP)をカナダに新設する。資本金は約100億円弱で大阪ガスと三菱商事が各45%、シャープが10%を出資する。新会社はオンタリオ州東部地区に発電能力1万キロワット強のメガソーラーを9カ所建設する。合計の発電能力は単独のメガソーラーで世界最大級とされる10万キロワットに匹敵する規模となる。




 2012年末までに3カ所、13年末までに全9カ所を稼働させる計画。総投資額350億円のうち300億円弱をみずほコーポレート銀行など複数の邦銀が協調融資する。年間発電量は1万世帯強の電力使用量を賄える1億キロワット時以上を見込む。同州当局の強い意向もあって太陽光パネルはカナダ製を採用する。




 プロジェクトはもともとシャープが一昨年秋に買収した米国の太陽光発電会社が計画、すでに建設用地を取得していた。オンタリオ州電力公社に1キロワット時当たり0.443カナダドル(約35円)で20年間にわたって売電する契約も締結済み。国際的にみても同州の買い取り価格は日本が7月に始める買い取り価格案(42円)に次ぐ高水準という。




 今回、太陽光発電事業への新規参入を狙う大阪ガス、同事業を国内外で強化したい三菱商事と、投資負担を軽くしたいシャープの思惑が一致した。




 大阪ガスは主力のガス販売が13年3月期に前期比0.7%減少する見通し。丸紅と共同出資したオーストラリアの風力発電所が11年6月に稼働するなど再生可能エネルギー事業を新たな柱に育てる。太陽光発電所は今回のカナダが初となるが、今年度中に国内に3カ所程度の建設を目指す。




 シャープはイタリアでメガソーラーを運営しているほか、今後国内でも北海道や栃木県など5カ所に建設する計画。三菱商事も国内外で同事業を拡大する方針だ。




 欧州債務危機などによって欧州でのメガソーラー市場が失速する一方、7月に全量買い取りが始まる日本では今後、多くの事業者が参入する計画だ。季節や天候によって大きく発電量が変動する太陽光発電を安定的に系統につなぐ技術などは、今後重要になってくるとみられる。3社は世界最大級の発電所群の運営でノウハウ蓄積を目指す。