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再生エネルギー新設、全国で原発2基分  全量買い取り制度の導入で 建設費6000億円超 (各紙)

2012-06-28 07:59:07

各紙の報道によると、再生可能エネルギーの全量買い取り制度の7月1日導入を受け、メガソーラー(大規模太陽光発電所)や風力発電所の新規事業計画が全国で計200万キロワット超に達することが分かった。発電能力では原子力発電所2基分に相当し、メガソーラーと風力合計の発電能力は一気に6割増える。ただ、再生エネ急増は電気料金を押し上げる懸念もある。


 日本経済新聞が全国の取材拠点を通じて、表面化している事業計画を集計した。再生エネ事業の拡大は地域経済の活性化や電力不足緩和につながる可能性がある。一方、電力コストを増やす側面もあり、政府が今夏までにまとめる新エネルギー基本計画では負担のあり方が論点になりそうだ。




 7月以降の稼働を計画する事業を合計すると発電能力1千キロワット以上のメガソーラー計画が110件以上、合計130万キロワット強。風力発電は約20件、約75万キロワット。建設費(土地代除く)は総額6千億円以上の見通し。大半のメガソーラーは2014年度までに、風力は16年度までに稼働する。




 全量買い取り制度は太陽光、風力、地熱、中小水力、バイオマスが対象。発電コストを上回る価格で電力会社が買い取り、再生エネの普及を促す。日本は地熱資源は豊富だが、開発に時間がかかるため当面はメガソーラーと風力が再生エネの中核を担う。




 買い取り価格は住宅以外の太陽光が1キロワット時42円、発電能力20キロワット以上の風力で23.1円。発電コストに適正利潤を上乗せしたため「メガソーラーへの投資が進んでいる」(太陽光発電協会)。




 このため従来のメガソーラーを大きく上回る事業計画が相次ぐ。NTTは千葉県などで合計6万キロワット規模で検討中。京セラなども鹿児島市で7万キロワット規模を計画。風力では国内最大手のユーラスエナジーホールディングスは和歌山県などで16年までに計30万キロワットの発電所建設を計画している。




 地域別にみると風力発電に適した地域が多い北海道と東北の新設風力が約47万キロワットと、全体の6割。一方、メガソーラーでは日照量が多い九州が全体で約20万キロワット。




 経済産業省によるとメガソーラーなど非住宅の太陽光発電は11年度時点で80万キロワット、風力が250万キロワット。制度導入によってメガソーラーは2.6倍に増える。




 買い取り制度では全国一律で1キロワット時あたり0.22円が上乗せされ、一般的な家庭(電気料金が月7千円)の全国平均負担増は月87円。電力10社の電力量をかけあわせると消費者や企業の負担増の総額は年間2千億円弱。再生エネの普及ペースが加速すれば買い取り総額が増える。上乗せ額がさらにかさんで、消費者や企業の電力料金負担が重くなる可能性がある。




 天候に左右される太陽光や風力は火力などに比べて設備稼働率が低く、技術革新の余地も残る。