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東京都、湾岸に火力発電所10基 ファンドで400億円 (各紙)

2012-06-28 17:32:01

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東京都は今後3、4年で出力10万キロワット級の天然ガス火力発電所を東京湾岸に約10基新設する。投資ファンドを設立して約400億円を確保し、首都圏での電力の安定供給につなげる。28日午後にも発表する見通し。東京電力による地域独占の供給体制を切り崩す狙いもあり、他の自治体も追随する可能性がある。

ファンドは2つ設立する。都が15億円ずつ計30億円を出資し、メガバンク系と独立系の投資ファンド会社がそれぞれ運営する。国内外の機関投資家から出資を募り、400億円規模の資金を確保する計画だ。


 ファンド会社が確保した資金を発電所の実際の事業主体になる新電力(特定規模電気事業者)に投じるほか、発電所を新設する特別目的会社(SPC)への投資も想定している。発電所を新設する湾岸地域の環境アセスメントは10万キロワット級であれば不要で、建設から稼働までの期間を2年以内に短縮できる。1基目の発電所は2年後をめどに完成を目指す。10万キロワット級の発電所約10基で100万キロワットとなり、原子力発電所1基分の出力に相当する。




 都はすでに同プロジェクトを進めるための専門部署「投資政策部」を設けており、年内にも投資を始める。用地選定や新電力に携わる人材の確保などは今後、ファンド会社と協議する。




 都は企業が自家発電用に保有する火力発電設備の買収も進める。自前の設備を持っている企業でも、燃料の高騰などで採算が合わず、稼働させていないケースも多い。都主導で設備を更新して再起動させる。




 都が主導して火力発電事業を進めるのは、東電の電力供給力に不安があるため。東電の全火力発電所のうち、運転開始から35年を超えているものは全体の約4割を占めており、稼働の継続性には危うさが残る。都は東電に依存した電力供給体制を見直すことが急務と判断し、発電システムを自ら備えることにした。東電が電力供給できない状態に陥った場合でも、電力供給を継続できる体制を整える。




 都が火力発電所の新設を主導することで、他の自治体にも同様の動きが広がる可能性がある。福岡県では小川洋知事が民間を活用した天然ガス発電所の新設を検討する考えを明らかにしている。




 都は昨年、東京湾岸に100万キロワット級の天然ガス火力発電所を将来的に造る構想を表明していた。しかし100万キロワット級では環境アセスの手続きが必要で、具体化のめどが立っていなかった。