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局所的な異常気象コスト推定も=気候変動で発生率上昇(Reuters)

2012-07-30 22:26:25

大気汚染の深刻な北京の幹線道路上にかかる歩道橋(12年6月6日、中国北京)
大気汚染の深刻な北京の幹線道路上にかかる歩道橋(12年6月6日、中国北京)


【オスロ27日ロイター時事】科学者らは、人為的な気候変動が洪水や熱波といった個々の気象現象の発生リスクを高めている証拠をつかみつつある。この結果、異常気象に伴う局所的・地域的なコストや、その対策をピンポイントで特定する上で大きく前進しそうだ。

 気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第2作業部会のクリストファー・フィールド共同議長は「特定の事象や連続した事象の発生の蓋然性を、人間の指紋(人類が環境に与える影響)に帰する上でかなりの進捗(しんちょく)がみられる」と述べた。同議長は、2014年に発表予定の気候変動に関する国連報告を作成する。

 専門家たちは長年、温室効果ガスの排出増が世界の気温上昇や砂漠化、洪水、干ばつ、熱波、嵐の大型化、それに海面上昇をもたらしていると指摘してきた。しかし、米国で現在見受けられる干ばつや、7月のグリーンランドの氷床融解といった個々の事象については、自然に生じた気温・湿度の高低や風の強さで説明されるかもしれないとの認識に最近まではとどまっていた。

 それが現在、一部の異常な出来事については変わりつつある。例えば、今月発表された研究は、温室効果ガス排出が11年の米テキサス州での熱波発生や、11年末の英国での異常高温発生の蓋然性を上昇させたことを示した。異常な出来事に関するその他の研究も行われている。

 局所的により厳しい気象現象が発生する蓋然性が高くなっていることを示す証拠が集まり始めていることから、専門家が地球温暖化を人々に説明しやすくなる可能性がある。さらに、異常気象のコストをピンポイントで特定したり、道路や防波堤に至るまで各種の投資を促したりしやすくなる可能性もある。

 オックスフォード大学環境変化研究所の気候研究責任者マイルズ・アレン氏は「気候変動の皮肉な面の一つは、現在かかるコストに関する論文よりも、遠い将来の2100年にかかるコストに関する論文の方が多いことだ。これはばかげていると思う」と述べた。同氏は「異常気象との関連づけができなければ、現在のコスト計算はできない。計算ができれば、今度はそれを誰が負担するのかという問題に対処できるようになる」と指摘した。

 フィールド共同議長(スタンフォード大学の生物学・環境地球システム科学教授)は、極端な天候上の出来事について、それらが発生した直後に研究を進め、リスクを特定することが目標だと指摘した。

 

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2012073000536