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洋上風力発電に1200億円 東芝など6社、国内最大級 10年で30万キロワット分開発  (各紙)

2012-09-04 13:24:47

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各紙の報道によると、日立造船や東芝、JFEスチールなど6社が共同で洋上風力発電事業に参入する。2015年に実証試験用発電所を建設するのを皮切りに、10年間に計1200億円を投じ、30万キロワット分の開発を目指す。洋上風力は政府も後押ししている。日本は欧州に比べて風力開発が遅れていたが、立地に制約の少ない洋上風力開発が進めば、再生可能エネルギーの活用に弾みがつきそうだ。


 30万キロワットは中規模火力設備1基分に相当し、国内の洋上風力開発では最大規模となる。3社のほか住友電気工業、東亜建設工業、東洋建設が参加。風量調査などで日本気象協会の協力も得る。日立造船が支柱、東芝が風車、住友電工が海底送電ケーブルをそれぞれ担当する。




 海底に鋼管を打ち込み、その上に発電設備を固定する「着床式」を採用する。発電能力7000キロワット程度の実証試験用発電所を設置し、風量や塩害による劣化、採算性などを調べる。




 九州など安定した風量が確保できる候補地の選定を進め、20年をメドに本格展開する。発電した電気は電力会社に販売する。将来は発電設備を海に浮かせる「浮体式」も検討する。資金調達のため特別目的会社(SPC)を設立し、発電事業から得られる収入をもとに銀行からプロジェクトファイナンス方式で借り入れる手法も活用する。

欧州に比べて日本では洋上風力の開発が進んでこなかった。日本の風力発電容量約250万キロワットに対し、洋上は3万キロワットにとどまる。


 しかし、最近では陸上風力は騒音や用地確保の問題に直面。再生可能エネルギー全量買い取り制度の導入で採算確保が見込めるようになったことなどを背景に、ここにきて洋上風力が再生可能エネルギーの有力な柱として浮上している。政府は8月末、洋上風力を30年に803万キロワットに拡大する目標を掲げた。




 洋上風力は陸上風力に比べ、陸地に電気を送る海底送電ケーブルの敷設など建設費用がかさむ。一方、洋上は風量が多いので発電量がより豊富なうえ、敷設場所の制約が少ない。漁業権問題などが解消され、洋上風力開発が進めば、風力発電容量が大幅に増えそうだ。




 環境省が8月下旬から長崎県五島市の周辺海域で浮体式の実証試験を始めたほか、丸紅や三菱重工業などが福島県沖で洋上風力発電所の実証試験を計画している。




 風力発電機の部品点数は自動車とほぼ同等の2万あり、裾野産業を形成する。東芝など企業中心に洋上風力開発が加速すれば産業集積が進み、雇用創出効果も見込める。海外では英国が13兆円を投じて3200万キロワットの世界最大の洋上風力開発を打ち出し、10万人分の雇用創出を見込む。