HOME8.温暖化・気候変動 |小水力発電、農業向け開拓 シーベルと大阪ガス、初期費用ゼロに(各紙) |

小水力発電、農業向け開拓 シーベルと大阪ガス、初期費用ゼロに(各紙)

2012-09-20 08:58:42

栃木県の那須野ケ原の農業水力発電所
栃木県の那須野ケ原の農業水力発電所


各紙の報道によると、用水路などでも発電できる小水力発電機を農業関係者や自治体に販売する動きが相次いでいる。ベンチャー企業のシーベルインターナショナル(東京・千代田)は大阪ガスと組み、初期費用ゼロのリース方式導入で設置台数を6倍に増やすほか、中型以上を製造・販売してきた日本工営も小水力に参入した。再生可能エネルギーの普及を促す制度の導入を追い風に、新たな販路開拓を目指す。


 太陽光や風力など再生可能エネルギーでつくった電気を固定価格で全量買い取る制度が7月1日に開始。日射量や風量に左右されやすい太陽光、風力発電に比べ、水力発電は発電量が比較的安定するメリットがある。




 シーベルは大ガスと組み、導入しやすい仕組みを構築した。大ガス子会社のエナジーバンクジャパン(EBJ、大阪市)が農村の事業者と共同で小水力発電機をリース会社から借りて運営する。初期費用はゼロで、リース料を売電収入で賄い、残りの収入をEBJと顧客が分け合う。




 農業用水を管理する土地改良区連合や自治体などに売り込む。シーベルは発電能力10キロワットの小水力発電機が主力。東日本大震災後、非常用電源として引き合いが増えたが、約1200万円と高価な初期費用が導入時の負担になっていた。これまで全国に20基設置したが、大ガスと組むことで来年度は120基程度の設置を目指す。




 建設コンサルティング大手の日本工営は小水力発電機市場に参入した。従来は2000~5000キロワット級の中型以上の製造・販売を手掛けてきたが、今後は400キロワットの発電機も販売する。




 農業用水を利用した小水力発電の動きは広がっている。埼玉県上里町では18日、関東農政局が出力199キロワットの発電所で売電を開始。4月には丸紅の全額出資子会社、三峰川電力が山梨県北杜市に設置した小水力発電所3カ所が稼働した。