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ダイキン工業 エアコンに温暖化抑制冷媒 「HFS32」を世界初採用 (各紙)

2012-10-01 07:23:38

daikin無題
 各紙の報道によると、冷房機大手のダイキン工業は、今秋から発売する国内家庭向けのエアコン全機種に、地球温暖化への影響を抑えた冷媒「HFC32」を採用すると発表した。HFCをエアコン用冷媒として本格的に採用するのは世界で初めてとなる。同社は国内市場だけでなく、海外市場や業務用エアコン市場でも同冷媒を採用して市場拡大を目指すという。

 ダイキンは現在、冷房用の冷媒として「HFC410A」と呼ばれる代替フロンを採用している。しかし、同冷媒は温暖化を促進する影響が非常に高い。温暖化係数は「2090」となっている。これに対して、今回採用する「HFC32」はそれよりも3分の1少ない「675」。つまり温暖化抑制効果が3倍あることになる。

  同時に、HFC32はエネルギー効率が優れているというメリットもある。そのため、機器使用時のエネルギーを節約することによっても温室効果ガスを抑制できる。加えて、空調機1台当たりの冷媒量を削減したりすることで熱交換器の要素部品をコンパクト化するといった利点もあるという。軽量化はまた温暖化抑制効果につながる。同社では、冷媒をHFC32に変更することと対策の組み合わせによって、現行比(HFC410A比)で温暖化の影響を75%低減できるとしている。

 HFC32の利点はまだある。単一の冷媒となるため、回収や再生といったリサイクルも容易にできる点だ。ただ、課題もある。同社の発表会ではHFC32のデメリットとして、HFC410Aが不燃性である一方、HFC32は微燃性である点が指摘された。この点について、「通常の使用条件で燃えることは考えられない。安全性に自信が持てたので製品に採用した」(CSR担当者)と説明している。製造にかかるコストは、現状とほぼ同じという。

 ダイキンでは世界各国にHFC32搭載の空調機を普及させるため、ダイキンが取得しているHFC32に関する基本特許を、モントリオール議定書第5条に登録されている新興国に対して、無償で開放することも決めた。また、先進国の企業については、ダイキンと同数の特許について、互いに権利を不行使する「相互権利不行使契約」を締結すれば、金銭の支払いなく基本特許が使用できるという。

http://www.daikin.co.jp/index.html