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急速に再生可能エネ市場の“陽射し”が変化しているようだ (各紙)旭硝子、太陽電池向け減産 日本板硝子も生産調整

2012-10-08 07:03:02

reutersgernansolar
各紙の報道によると、ガラス世界最大手の旭硝子は成長分野としてきた太陽電池向けガラスの減産に踏み切った。米国テネシー州の工場を休止した。日本板硝子も米国と欧州で生産調整を実施。ガラス業界は液晶向けや建築向けの価格下落などに加え、自動車向けも中国での日本車の販売減が懸念材料となり、主要4分野で収益環境が厳しくなっている。過剰在庫を避ける機動的な減産のほか、新たな成長分野の拡大が求められている。


 旭硝子は米国に太陽電池関連で2つのガラス工場がある。このほど休止したのは太陽電池の表面を保護するカバーガラスを生産するテネシー州キングスポートの工場。割安な中国製電池が出回り、現地での出荷が低迷し、在庫が約4~5カ月分に膨らんだためだ。




 原料からガラスを作る「生産窯」は止めると再開費用がかさむため設備の稼働を続けるが、作ったガラスは出荷せず砕いて原料として再利用する。120人程度の従業員の約半数を解雇。同社は「在庫を約2カ月分に減らす。生産停止期間は数カ月に抑えたい」という。太陽電池の基板ガラスを生産しているカンザス州の工場については通常の稼働を続ける。




 同社は2012年12月期の連結営業利益が前年同期比で約4割減になる見通しだ。業界では液晶向けは昨年前半ごろまで売上高営業利益率が4割程度だったが、その後大幅に低下した。欧州では建築向けガラスの低迷が続く。昨年度の売上高が約400億円の太陽電池向けも採算性が悪化した。西欧では今年、建築用ガラスの生産能力を2割超削減しており、太陽電池でも減産を決めた。




 日本板硝子は10年に太陽電池向けを戦略分野とし世界で7生産拠点を整えた。競争激化のほか、主力の欧州市場では需要が持ち直しておらず、さらなる減産を迫られる可能性がある。




 国内3位のセントラル硝子は昨年、三重県で太陽電池向け工場を稼働させて新規参入した。再生可能エネルギーの買い取り制度の施行でメガソーラーの建設は続くが、「海外製品に押されて、利益が伸びない」(同社)と苦戦している。