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「牛のゲップ」は思った以上に、気候変動への影響が少ない。オーストラリアで研究発表(Reuters)

2011-06-01 23:34:22

遠慮気味にゲップしているのよ(牛の声)
遠慮気味にゲップしているのよ(牛の声)


Reuters: 北オーストラリアに生息する牛が「ゲップ」をするたびに排出するメタン(温室効果ガス)の排出量が、これまで考えられていたよりも少ないことを示す論文がオーストラリアで発表された。これは、「牛は案外、地球に優しい」ということでもある。

牛、羊や他の反芻動物は、二酸化炭素(CO2)よりも温室効果がおよそ20倍高いメタンを多く排出する。一匹の牛が一年間に排出する温室効果ガスの量は、およそ1.5トンである。

ニュージーランドでは、温室効果ガス排出量全体の半分が、農業からの排出が占める。そのほとんどは牛と羊に起因する。さらに、その牛と羊による排出のほとんどは、意外にもゲップによるものである。

 今回明らかになったのは、オーストラリア政府が支援するリサーチ会社CSIROの科学者の調査で、「オーストラリア北部の暖地型牧草を食べて育った牛によるメタンの排出量は、考えられていた量の三分の一以下」だったという。

この見解は、熱帯性牧草を食べて育ったバラモン牛を特別な呼吸室で実験した。そして、これまで牛からの排出量を推測するために、政府が使ってきた古い計算法に挑戦する形で、導き出された。

「新しい測定法を用いると、牧畜産業はこれまで考えられていたよりもメタン排出が少ない(メタン・フレンドリー)」と研究リーダーであるEd Charmleyは北クイーンランド州のタウンズヒル近くで野外研究を行っている際、ロイターに電話で話した。

およそ2700万頭の牛がいるオーストラリアでは、その半数が北部に生息している。彼らから排出される温室効果ガスは同国全体の国内排出量の4.5%に相当する。この排出量が、今回の研究によると、30%削減されるとすると、温室効果ガス排出削減は740万トン相当となり、およそ大きな石炭火力発電所一基分の排出量と同じである。

この研究成果は、オーストラリア政府が国内の年間温室効果ガス排出量を計算する際に有用である。同国内の温室効果ガス排出量の15%は農業からとされているからだ。科学者らは、「羊や牛のえさを変えることで、農業由来の排出を減らせる。現在国会で論議中の排出権取引制度が導入されれば、そうした牧畜業での削減努力はカーボンクレジットを得ることができる」と指摘している。

英語版 http://financegreenwatch.org/?p=1289

Reporting by David Fogarty; Editing by Nick Macfie)