HOME8.温暖化・気候変動 |世界は、2030年までに再生可能エネルギーへの依存を現行の二倍にしなければならない:国連の幹部が指摘(Reuters) |

世界は、2030年までに再生可能エネルギーへの依存を現行の二倍にしなければならない:国連の幹部が指摘(Reuters)

2011-06-12 23:10:23

By Alister Doyle:国連幹部はこのほど、世界は民間部門の強い支援を受ける形で、温暖化の進行を抑える目標を達成するために、再生可能エネルギーへの依存を現行の倍以上に高めなければならないと、述べた。U.N. Industrial Development Organization (UNIDO)のKandeh Yumkella氏がReutersに語った。

同氏は、新たな目標として、2030年までに再生可能エネルギーによるエネルギー供給を全体の30%にすべきだと指摘した。再生可能エネルギーの使用は現在、全体の約13%で、その大半は、途上国において森林資源を薪などで燃焼させ、電力の代わりに照明や暖房に使う例が占めている。水力、風、地熱、太陽光はより小さい役割しか果たしていない。

. 再生可能エネルギー使用を国連の目標化することは、2030年までにすべての人に対して電力を幅広く供給することを求めることになる。現時点では世界中で25億人が、まったく無電力か、あるいはほとんど電力にアクセスできない状況にある。そうした無電力の一掃と同様に、2030年までに、エネルギー効率化を現行より40%改善する目標も必要、と彼は指摘した。

「30/30/30(30%のCO2削減率、30%の再生可能エネルギー比率、30%のエネルギー効率化)」として知られている政策を推進することは、発展途上国の貧困を克服するとともに、IPCCが指摘しているような熱波や干ばつ、土砂災害、海面上昇等の増大を引き起こす温暖化問題に対応することにもなる。

Yumkella氏は、国連各機関のエネルギー政策を調整する国連エネルギー担当を総括しており、そうした目標実現のために、公的部門と民間部門の間でのパートナーシップを推進することを称賛した。「優れたpublic-private platformsがないと、われわれは目標を達成できない」と付け加えた。「われわれの理想は、こうした目標のために来年の半ばまでに民間部門から約400億㌦以上の資金供給の約束を取り付けることにある」と。

地球サミット

Yumkella氏はさらに、国連事務総長Ban Ki-moon氏が、今年中に2030年のエネルギー目標を設定することを正式にスタートすると、語った。この目標は、2012年6月にブラジルのリオデジャネイロで開く10年に一度の地球サミットで、世界のリーダーたちによって、、グリーン経済に向けたシフトの一つとして採択されるだろう。

ただし、2030年までに再生可能エネルギーの目標率を30%とするために、いくらの費用が必要かは不明だ、とも語った。従来の推計では、2030年までにすべての人に電力を供給するための費用として、毎年、追加的に350~400億㌦の資本が必要とされている。

一方、2030年までにエネルギー効率を40%増やすもう一つの目標のためには、中位所得国で1400~1700億㌦/年、最貧国で300~350億㌦/年の投資が必要となる。

先月、国連の気候変動科学者パネルは、世界は石炭や石油のような化石燃料から再生可能エネルギーに移行するための適切な政策をとるとすると、2050年までに再生可能資源からのエネルギーを全体の約80%に近づけることができると、指摘した。

Yumkella氏は、『我々は、次の20年で何を成し遂げることができるか』と題した私の提案は、2030年までに再生可能エネルギーを30%にすることができる、という分析に基づいたものである、と語った。

特に彼は、民間投資を促進する事例として、米Utility企業のAmerican Electric Power (AEP)が、Global Sustainable Electricity Partnership(GSEP)という非営利のpublic-private invsetmentを推進していることを称賛した。

このほか、成功したプロジェクトとしては、パタゴニアのCochicoの地方自治体に供給するための発電量86kwの水力発電所や、同じくChorriaca村に電力を供給する同規模の風力発電とディーゼル発電を組み合わせたのハイブリット・システムなどがある。

米デュークエネルギー社は、このうちパタゴニア・プロジェクトへの民間投資の促進をリードした。同社と連携したthe non-profit団体のExecutive DirectorであるJohane Meagher氏は, 「パタゴニアの例が世界の他地域の電力モデルになりえる」と語っている。

 各企業は、政府部門がそうしたプロジェクトなどに民間投資を引き付けようとしていると予測できるような政策をとる必要がある、と指摘する。「政府政策の安定性こそが大事だ」。AEPの国際協力部門のヘッドであるPaul Loeffelmanの言葉である。

英語版参照 http://financegreenwatch.org/?p=1421