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気候変動報告書案(IPCC5次レポート)草案、また流出 経済成長への悪影響指摘 (各紙) いずれも温暖化加速を確認

2013-01-09 13:22:31

ツバル、フナフチ島(首都)。環礁のため内陸から沸き上がった水によって浸水している町(浸水後)。
ツバル、フナフチ島(首都)。環礁のため内陸から沸き上がった水によって浸水している町(浸水後)。
ツバル、フナフチ島(首都)。環礁のため内陸から沸き上がった水によって浸水している町(浸水後)。


国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、2014年の公表を目指した第5次レポートの作成作業を進めているが、地球温暖化による社会や自然への影響を評価する第2作業部会の報告書草案が流出、インターネット上で公開されたと発表した。昨年12月には第1作業部会の報告書草案が流出したばかり。流出した内容はいずれも温暖化がこれまでの想定よりも加速していることを表すもの。

第2作業部会はIPCCに三つある作業部会の一つ。今回、流出した草案は、温暖化の進行が、各国の経済成長に悪影響を与える懸念や、海面上昇などにより住民の移住が必要になる地域が出る可能性を指摘している。また、温暖化が進むにつれて、各地で大雨や干ばつがより頻繁に起こるほか、食料生産の減少によって栄養不足のリスクが増大することも指摘している。

昨年12月に流出した第一作業部会の報告草案では、2007年報告の第4次レポートでは、今日の温暖化を促進する主要要因は90%の確率で人間の経済活動である、としていたが、今回はその確率は95%と、一段と高まったことを記載している。また、これまで以上に熱波の発生や、海面上昇の懸念が高まる、ともしている。

いずれのリークされた内容も、温暖化の進行が加速していることを示し、また人間活動が主因であることが、ほぼ確定したことを表すもの。これらの草案をリークしたのは、昨年12月のケースも、温暖化に対して懐疑論の立場に立つ学者。というのは、正式にパブリップコメントに付された際には、多くの環境擁護派がコメントを組織的に提出するので、本来の議論のポイントが絞られないまま採択されるリスクがある、と説明している。

IPCCは再三の草案の漏えいについて、「現時点の報告書案は、あくまでも草案(Early draft)の域を出ない。公式の報告書として公表する際には、長期にわたるレビュー期間を経たのちに、各国政府によって採択される」と説明している。