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森林密度の上昇が気候変動を相殺(AlertNet)

2011-06-13 00:16:53

A boy hugs a tree trunk as he prepares to take part in an attempt to create a Guinness World Record for the most number of people hugging trees for two minutes in Kathmandu June 5, 2011. REUTERS/Navesh Chitrakar
A boy hugs a tree trunk as he prepares to take part in an attempt to create a Guinness World Record for the most number of people hugging trees for two minutes in Kathmandu June 5, 2011. REUTERS/Navesh Chitrakar


By Alister Doyle, Environment Correspondent: OSLO, June 5 (Reuters):多くの国での森林密度の上昇が、アマゾン流域からインドネシアまでに及ぶ熱帯森林伐採で引き起こされる気候変動を相殺するのに役立っている、との研究レポートが明らかになった。同研究は、そうした森林の能力を活用し、温暖化の進行を抑えるために、森林に価格をつける国連主導の試み(REDD)を進めるには、森林の範囲だけでなく、木々のサイズも考慮する必要がある、と指摘している。

同研究レポートの中で、フィンランドとアメリカの専門家は、「森林の高密度が意味することは、世界の森林は思った以上に炭素を多く吸収しているということだ」と述べた。

木々は成長時に主要な温室効果ガスであるCO2(二酸化炭素)を吸収し、燃焼時や腐敗時にそれを排出する。アフリカのコンゴ地域からパプアニューギニアにかけての森林伐採地域では、CO2総排出量のうちおよそ12~20%がこうした人間活動によるものだとして非難されている。

 同レポートは、68の国家調査を元に構成されている。森林に蓄えられた炭素の総量は世界の森林地帯ではほとんど変化していないが、2000~2010年の間でみると、ヨーロッパと北アメリカでは増加していることが明らかになった。アフリカと南アメリカでは、森林に蓄えられた炭素の総量は、森林面積の損失よりも遅い速度で減少した。このことは木々の密集が進んでいることを示している。同期間において、アジアの森林密度は低下していた。

このうち、インドネシアやアルゼンチンを含む数カ国は、未だ多くの炭素が減量している。研究ではまだ十分なデータが無いとして、全体的な傾向の推定は避けた。中国を含む数カ国の森林の高密度化は、恐らく過去の森林での植樹との関連があるだろうと、今回の研究レポートのlead authorを務めたヘルシンキ大学のAapo Rautiainenは述べている。

「数十年前、中国で始まった植林による森林は、現在急成長段階に達し始めている。 それが密度上昇の理由だ」と、彼は言った。

-温暖化-

地球温暖化は、主に人間の化石燃料の使用が原因だとして国連の気候専門家委員会によって非難されているが、一定の地域では木々の成長条件を改善しているかもしれない。温暖化は、熱波、干ばつと海面上昇を引き起こすと予測されている。

特にアメリカでは目立った変化が起きている。米国の森林地域の広さは1953~2007年の間でわずか1%だけ拡大したが、同じ期間に森林量の成長は51%増大した。

米国の農業が中西部にシフトしたことは、東部地域の森林が、成長し、より密集することを意味していた。レポートはさらに、森林管理者は、木が太くなったこともあって、定期的な伐採を避けるようになっていたかもしれないと示唆した。

しかしそのことは、発展途上国の熱帯雨林を保護するために、市場メカニズムを導入のためのデザインをするための努力を複雑化することにもなりそうだ。国連主導のREDD活動において、人々は森林伐採進行を緩和するために、保存に伴う取引可能なクレジットを得る仕組みを検討している。

 森林密度を測定することは、飛行機や衛星によって写真を撮って森林の範囲を図ることよりも、もっと複雑なモニタリングを必要とする。「カーボンのために合法的で信用のできる数字を導き出せるようなより幅広いサンプリングが必要だ」と、co-authorで、ニューヨークのロックフェラー大学のIddo Wernickは指摘している。

6月6~17日にかけて、ドイツのボンに、およそ180カ国の交渉者が集まり、熱帯雨林の保護を含む地球温暖化を減速させるための対策を協議する。 (Editing by David Cowell)

英語版参照 http://financegreenwatch.org/?p=1435