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遊休石炭火力発電所を バイオマス発電所に転用 初の試み 新電力のイーレックス(各紙) 今夏参入

2013-01-23 08:16:01

バイオ発電に転用される石炭火力発電所
バイオ発電に転用される石炭火力発電所
バイオ発電に転用される石炭火力発電所


各紙の報道によると、新電力事業(特定規模電気事業者)中堅のイーレックス(東京・中央)は、太平洋セメント所有の遊休石炭火力発電所を買収・改造し、バイオマス発電所に転用する。温暖化ガス排出量が最も多い石炭火力を、基本的に排出ゼロのバイオマス発電に設備ごと切り替えるのは日本で初めての試みだ。再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)の利用で可能になった。旧式石炭火力のクリーン転用は、設備投資促進になると同時に、温暖化対策にもなるため、他への波及も期待される。


 事業化はこの夏にも実施する。イーレックスは日短キャピタルグループ系の新電力事業会社。日立製作所、東芝なども出資している。買収対象となるのは太平洋セメントが2010年に生産を中止した土佐工場(高知市)の遊休設備。主燃料は石炭で、発電した電力は同社のセメント生産に利用していた。

イーレックスは同設備を総額40億円規模かけてバイオ発電用に改造し、7月をめどに商業運転を始める予定。バイオ発電で発電した電力は、同社がすでに抱えている顧客企業向けに販売するほか、固定価格買い取り制度(FIT)を利用して、四国電力に販売する予定。投資資金の回収は、これらの売電収入によって約10年で可能という。




 イーレックスが、石炭火力の転用に目をつけたのは、石炭火力で使われてる基幹設備の「循環流動層ボイラー」がバイオマス発電にも適しているため。このため新規にバイオ発電所を建てるより、投資額は半分以下で済むほか、工事期間も大幅に短縮できる。こうしたバイオマス発電への転用可能な石炭火力は、国内だけでも90基前後あるとみられる。今後、転用による設備投資需要が出ることへの期待と、今回の太平洋セメントのように、遊休施設の再稼働が進むと、地域での雇用増への期待もある。

バイオマス発電でも高効率発電が可能になる。発電能力は2万キロワット。今回のバイオ発電の原料になるのはヤシ殻で、インドネシア、マレーシア、ブルネイの3カ国から調達する予定。発電コストは石炭火力より高いが、FITを利用することで、売電価格が安定するため、採算性に問題はないという。イーレックスの自前電源はこれまで全て石炭火力。しかし、FITの導入で、再生可能エネ発電の魅力が増大しており、低コストで電源を拡大・多様化できると判断した。




 発電事業は特別目的会社(SPC)を他社と共同出資で設立、イーレックスがSPCから電力を買い取る形となる。昨年7月から始まった我が国でのFIT制度の利用は、太陽光発電のメガソーラーが大半。バイオマス発電は数が少ないが、既存の発電所を転用する場合、新たに土地を確保する必要がないなどのメリットがある。また太陽光は日照時間にネックがあり、風力発電は風況次第という不安定性があるが、バイオマス発電の場合、原料の確保さえできれば、安定的な電力供給が可能になる点も魅力だ。Erex9695999693819696E0E0E29B8A8DE0E0E2E3E0E2E3E18698E0E2E2E2-DSKDZO5088738023012013TJ2000-PN1-3