HOME5. 政策関連 |「拝啓 石原環境相殿」 二国間クレジット制度として 中国に100万個の空気清浄機を供与してはどうか(FGW) |

「拝啓 石原環境相殿」 二国間クレジット制度として 中国に100万個の空気清浄機を供与してはどうか(FGW)

2013-02-07 15:35:33

ishiharaimagesCAUBVHBV
ishiharaimagesCAUBVHBV拝啓 石原伸晃環境大臣殿

前略: 中国での大気汚染の激化と、その影響が日本にも及んでいることが問題になっているが、日中の環境協力、あるいは地球温暖化対策で進めようとしている2国間クレジット制度を適用して、中国の市民の健康対策として、日本製の空気清浄機を100万個単位で供給してはどうか。石原環境大臣におかれては、父親の慎太郎議員の“軽挙妄動”によって引き起こされた日中間の政治的緊張関係を緩和するためにも、思いきった決断を期待したい。

中国の異常な大気汚染は、成長一本やりのこれまでの中国政府の経済政策の「失敗」を表すものだ。しかし、中国を非難しているだけでは物事は解決しない。大気汚染の影響は、地理的に近接する日本、韓国に及んでいる。中国政府の環境無視、市民の健康無視の視点を抜本から改善させる必要がある。

中国からの大気汚染をはじめとする「越境汚染」問題は、これまでも日中韓で対応を重ねてきた重要なテーマだ。だが、中国政府自身に問題解決の能力も決断力もみられないとすれば、日本が手を差し延べることも検討しなければならない。しかもその手段は「見える形」での支援であることが望ましい。

そこで、温暖化対策でわが国の経済産業省が積極的に推進している2国間クレジット制度の中国への適用を推奨したい。国連の温暖化対策の枠組みでは、中国も依然、途上国扱いとなっていることから、2国間クレジットの適用対象とすることに問題はないはずだ。

具体的な対中クレジットの中身は、温暖化対策としての燃料切り替え、石炭火力発電からガス発電、あるいは再生可能エネ発電への切り替え、自動車の排ガス対策、住宅・建物等の省エネ基準導入等の、包括的な温暖化対策と大気汚染対策をセットで提供し、その見返りとして、わが国がクレジットを取得することが考えられる。その対策の一つ(Adaptation)に、中国市民への健康対策として、日本製空気清浄機を大量供与案も盛り込むのだ。単に政府間協定にとどめず、中国市民に日本の支援を見える形で示すことが大事だ。

中国にも空気清浄機はあるだろう。だが、おそらくは日本製をコピーしたもので性能は悪いと思われるので、日本の一流の製品を配って、「正しい製品とはこういうものだ」と示してあげる。もちろん、13億人全員に配るのは無理。したがって、抽選、しかも所得の低い人を中心に無償で配る(共産党政権がそうしたことをできないのだから、資本主義の日本政府がしてあげる)ことでどうか。

こうした国際協力は、清浄機を供給する日本の家電メーカーへの支援にもなる。家電メーカーは配布後のメインテナンス、買い替え等の需要をしっかりつかんで、中国市場で「ホンモノの家電製品」を継続して売っていく戦略をとってもらいたい。

空気清浄機は大気汚染の抜本解決手段ではなく、汚染状態での緊急の健康対策装置である。抜本的には、上述したエネルギー源の切り替え、自動車中心から公共輸送機関への切り替え、日々の省エネ・節エネ意識への切り替えなど、幅広いMitigation対策が必要だ。

しかし、まずは空気清浄機の威力を中国市民に教えると同時に、日本人が、日本の製品が、日中協力関係が、中国市民の健康と、中国社会の清浄化に資するものだという理解を増進することが大事だ。対策の効果は、温暖化クレジットとしてわが国に帰属するほか、中国の家電市場での日本企業の競争力向上にもつながるだろう。また、中国の市民にとって、間違った日本への理解を正す一つのきっかけにもなり得る。

 中国で働いている日本人とその家族に対しても空気清浄機を無償で配布しよう。そうすることで、日本は、国を離れて働く国民を大事にする国であることを、中国の人にもわかってもらえるだろう。日本が自国民と、隣国の人々に対して、いかに配慮を持った国であるかということへの理解が進めば、100万個の空気清浄機(おそらく費用は100億円前後)は安いものではないか。

尖閣列島問題に火をつけた後、その責任もとらず、国会議員に復帰した父親の石原慎太郎氏には困ったものだが、父・石原氏も最初に国務大臣に就任したのは環境省(当時は環境庁長官)だった。長官時代はいろいろ物議をかもしたが、それでもディーゼル自動車対策等に力を奮った実績もある。「環境の石原」でもあったのだ。そのご子息の伸晃大臣が、日中関係が最悪化している最中に、環境大臣に就任されたのはまさに巡り合わせというしかない。

親の不始末を子がするというのも、「スパルタ教育」で育った伸晃氏の腕の見せどころである。