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米最高裁、電力会社に対する地球温暖化訴訟を棄却(Reuters)

2011-06-21 17:41:37

 【ワシントン20日ロイター時事】米連邦最高裁は20日、カリフォルニア州など6州がアメリカン・エレクトリック・パワー(AEP)など電力大手5社を相手取って起こした地球温暖化訴訟を棄却した。これは2007年以降に行われた環境に関する判決で最も重要なもので、電力会社とオバマ政権の勝利となった。

 連邦控訴裁判所(高裁)は先に、6州は気候変動の原因となる温室ガスの排出削減を石炭火力発電所に義務づけるため訴訟を継続できるとした。しかし最高裁はこの日、この控訴裁判決を全員一致で覆した。最高裁は、温室効果ガスの規制は、大気浄化法に基づいた環境保護局(EPA)の判断に委ねるべきだとする企業側の意見に同意した。

 今回の判決は、電力大手5社の排出する温室ガスが気候変動の一因になっており、公共の利害に反しているとして2004年に起こされた訴訟に対するもの。6州は連邦裁判所に対し、電力5社に二酸化炭素(CO2)の排出削減を命じるよう求めていた。

 これに対し電力会社側の弁護士は、この訴訟が影響を及ぼす範囲が国内的、国際的な問題に係わっており、前例のないほど大きいと指摘し、連邦判事の権限を超えていると主張していた。これら電力会社はAEP、サザン、エクセル・エナジー、デューク・エナジー、それに政府系のテネシー峡谷開発公社(TVA)で、これら5社のCO2排出量は米国全体の約10%を占める。

 カリフォルニア、コネチカット、アイオワ、ニューヨーク、ロードアイランド、それにバーモントの6州は、地球温暖化によって市民が打撃を受けているとし、訴訟の続行を求めていた。

 最高裁は07年、EPAに温室効果ガス排出規制に関する権限を与える判断を示した。今回の訴訟は、それ以降に最高裁にまで達した気候変動に関する訴訟の中で最も重要なものだった。

 EPAは温室ガスによる汚染が健康被害につながるとしているが、議会共和党からの反対に直面しているため、発電所にはまだ規制を課していない。http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2011062100372