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地球温暖化対策推進法改正案の閣議決定~長期目標の必要性を明記すべき(KIKO) 民主党政権より大幅後退

2013-03-16 10:37:19

温暖化で氷河の崩壊が進むグリーンランド
温暖化で氷河の崩壊が進むグリーンランド
温暖化で氷河の崩壊が進むグリーンランド


3月15日、「地球温暖化対策の推進に関する法律(地球温暖化対策推進法)の一部を改正する法律案が、閣議決定された。改正法案は、2009年より議論されてきた地球温暖化対策基本法案が、昨年、衆議院解散と共に廃案になったことに伴い、現行の温暖化対策推進法(温対法)の改正案へと変更され、2013年以降の計画を策定することを位置付けるためのものである。

しかし、法案には、2020年の中期目標のみならず、既に政府において閣議決定済みの2050年80%削減の長期目標すら明記されず、目標に関する文言はどこにも見当たらない。同日開催された、地球温暖化対策推進本部において、80%の温室効果ガスの排出削減を目指すこととしているのにもかかわらず、である。また計画は、少なくとも3年ごとに見直しするとされたものの、計画自体がいつからいつまでの期間なのか不透明である。さらに、附則で、平成27年(2015年)までに法制上その他の必要な措置を講ずるとされたが、国際的な新枠組みが合意される2015年のぎりぎりまで対応がとられない恐れもある。

このような法改正では、これからどのような方向性に向かって日本が温暖化対策を取っていくのか、また、どれぐらいの時間枠でどの程度の努力をしていこうとするのか、関係主体に何らビジョンを示さないのに等しい。

国際交渉では、2020年の現在の先進国の目標では不十分と認識され、更に目標を引き上げる議論が進められている。2020年に目標を引き上げなければ、気温上昇を2℃以下に抑える目標の達成がほぼ実現できなくなるからだ。今回の法改正は、こうした状況を踏まえ、日本がしっかり温暖化対策を取っていくためのものであるはずである。

これからの国会の審議において、少なくとも以下の点を盛り込む修正が不可欠である。

1)長期目標である「2050年80%削減」、および「2℃目標」を、日本の温暖化対策のこれからの方向性として法文に明示すること。

2)今後、平成27年(2015年)の国際合意に向けて十分な時間的な余裕をもって中期目標の設定や、施策の強化を迅速に進められるように明文化すること。

プレスリリース本文


「本日の地球温暖化対策推進法改正案の閣議決定に際して~長期目標の必要性を明記する改正が必須~」 (2013年3月15日、PDF)

 

http://www.kikonet.org/iken/kokunai/2013-03-15.html