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温暖化の停止の原因は排出硫黄の影響=科学者グループ(Reuters)

2011-07-07 16:47:47

【ロンドン4日ロイター時事】米ボストン大学などの科学者は4日の米国科学アカデミー紀要(PNAS)で発表した研究報告で、1998~2008年に地球温暖化が止まったのは急成長を遂げるアジア諸国の工場煙突から吐き出される大量の煙によるものだ、とする見解を示した。

 報告は、これらの国が最終的に大気汚染を食い止めれば、気候変動はこれまでより速いペースで進むと見ている。研究はボストン大学のほか、ハーバード大学、それにフィンランドのトゥルク大学の専門家らのグループが行った。

 さまざまな統計によると、98~08年に化石燃料の燃焼に伴う二酸化炭素(CO2)の排出量は3分の1近く増えたものの、この間に世界の気温は上昇しなかった。報告は、アジア地域での石炭燃焼による大気汚染、特に排出された硫黄による冷却効果が気温上昇を抑えたとしている。それによると、硫黄の働きでエアロゾル(大気中に浮遊する液体または固体の微小粒子)や水滴が薄い雲状となり、これが太陽光を反射して地球に届かないようになるという。

 報告は、この時期に温暖化が止まったことで、人間の活動によって排出される温室効果ガスが地球を暖めているとする見解を疑問視する動きが強まったとしている。しかし、世界の気温は依然高水準にあり、世界気象機関(WMO)によると、昨年の気温は過去最高と同じだった。

 報告は硫黄エアロゾルは数年間にわたり大気中にとどまるとし、新興国が大気汚染対策を取れば、その冷却効果は徐々に弱まっていくと見ている。

 報告は、1940~70年代に温暖化の傾向が弱まったことについても、西側諸国の硫黄排出が原因だと、同様の説明をしている。

http://jp.reuters.com/article/jpnewEnv/idJPjiji2011070500206